人の手を全く介さず入出庫する“無人物流”がベールを脱いだ。開発を主導したのは、三井不動産。「フルオートメーション物流モデル」と命名し、千葉県船橋市の物流施設に導入した。三井不動産は今、物流事業を急拡大し、国内外で「ロジスティクスパーク」を次々と建設している。累計総投資額は約5700億円に達する勢いだ。

三井不動産は新たに開業した「MFLP ICT LABO 2.0」で、入荷から出荷まで完全自動の物流モデルを披露。物流事業を急拡大している
三井不動産は新たに開業した「MFLP ICT LABO 2.0」で、入荷から出荷まで完全自動の物流モデルを披露。物流事業を急拡大している

 IKEAやららぽーとが最寄りに広がるJR南船橋駅(千葉県船橋市)。南口を出て道なりに歩くと、三井不動産の巨大な物流施設が見えてくる。「MFLP船橋」だ。MFLPとは三井不動産ロジスティクスパークの略。2020年2月13日、ここに物流の未来を体感できるショールームが開業した。「MFLP ICT LABO 2.0」である。

 目玉は業界初と銘打った「フルオートメーション物流モデル」。約1000平方メートルの倉庫に足を踏み入れると、ほどなくコンテナが列をなしてベルトコンベア上を流れ始めた。そこに作業員はいない。起動速度も処理速度もメーカーも異なる複数の機器を組み合わせ、1つのシステムでつなぐことで、入荷から保管、出荷までのプロセスを完全自動化することに成功したのだ。

 例えば、三菱ロジスネクスト(京都府長岡京市)の無人フォークリフト「オートフォーク」がコンテナを仕分けエリアへと運び、日本電産シンポ(京都府長岡京市)の自動搬送台車「S-CART」がコンベアまで届ける。箱に入ったまま島津エス・ディー(京都市)の「RFIDゲート(無線自動識別ゲート)」をくぐって検品。安川メカトレック(東京・港)の「双腕ロボ」が箱を開封し、IHI物流産業システム(東京・江東)の「ピッキングロボ」が荷物を取り出す。そして、オカムラ(横浜市)の「オートストア(自動倉庫)」に格納する。出荷時はこの逆の流れをたどり、搬送先ごとに自動で仕分けし、トラックへと積み込む。リレー競技をほうふつさせる、鮮やかな連携プレーだった。

三菱ロジスネクストの無人フォークリフト「オートフォーク」
三菱ロジスネクストの無人フォークリフト「オートフォーク」
折り畳みコンテナを持ち上げるIHI物流産業システムのパレタイザー
折り畳みコンテナを持ち上げるIHI物流産業システムのパレタイザー
安川メカトレックの双腕ロボが鮮やかに箱を開封していく
安川メカトレックの双腕ロボが鮮やかに箱を開封していく

物流コンサル専門の新会社を設立

 三井不動産はなぜ、無人物流に挑んだのか。背景には、物流業界が抱える深刻な人手不足があった。もはや一部の業務を自動化するだけでは追いつかない。そこで考えたのは「機器同士を組み合わせることで倉庫内を完全自動化し、物流コストを下げる」(常務執行役員ロジスティクス本部長の三木孝行氏)というアプローチだった。この物流モデルを同規模の倉庫に丸々導入すれば、20人分の作業を代替できるという。

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