広島県内全23市町の74%に当たる17の自治体で、公共交通が存続の危機に立たされていることが明らかになった。世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター(C4IRJ)が、コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーと連携してレポートを作成。「対策が急務」と提言した。その詳細をいち早く読み解く(全2回)。

レポート作成に携わったマッキンゼー・アンド・カンパニー日本オフィスのパートナー、ドミニク・ルツァク氏(写真/古立康三)
レポート作成に携わったマッキンゼー・アンド・カンパニー日本オフィスのパートナー、ドミニク・ルツァク氏(写真/古立康三)

 based on the Index, 74% of cities in Hiroshima Prefecture had mobility systems with low to mid sustainability(インデックスに基づくと、広島県内の74%の都市で、モビリティシステムの持続可能性が「低」から「中」水準となった)――。

 広島の3分の2を超す都市で、将来、公共交通が立ち行かなくなる可能性がある。衝撃的な数字が示された。

 このレポートのタイトルは「Transforming Rural Mobility in Japan and the World日本と世界における地方モビリティの変革)」。C4IRJが、マッキンゼー・アンド・カンパニーの協力を得て作成した。大都市の渋滞などではなく、あえて地方都市の現状に目を向けて詳細な分析を講じたのが特徴だ。

 「広島には100万都市があり、島もあり、沿岸部もあり、山間部もあり、平野部もある。産業も多彩で、日本を映し出すような県だ。この分析で分かったことは、多くの自治体で変革が必要だということ。行動を起こさないといけない」。そう語るのは、このレポート作成に協力した、マッキンゼー日本オフィスのパートナー、ドミニク・ルツァク氏。

5つの都市類型、五角形のレーダーチャートに

 74%という数字は、極めてロジカルに導き出された。冒頭にあるインデックスは、C4IRJが開発した「Public Transit Sustainability Index(公共交通の持続性インデックス)」のこと。交通機関の収益性と、過去10年間のデータからはじき出した将来の需給予測に基づき、地方の公共交通の状況を客観的に「見える化」。現状だけでなく、将来をも見通せるのが特徴だ。

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