生まれたときからネットが身近にある小学生は、今の大人が子供だった頃とは違ったライフスタイルを送っている。スマホを持つ小学生が増加の一途をたどる現在、彼らは何に興味を持っているのだろうか。またお小遣いの使い道は何が多いのか。実態から考察していく。
増えつつある小学生のスマホデビュー
iPhoneが日本で発売された2008年から、はや12年の年月がたった。つまり今の小学生が生まれたときには既にiPhoneが存在し、多くの親たちはスマホやタブレットを手にしてインターネットを楽しんでいた。子供たちも外出先で退屈すればYouTubeを見て、キッズ向けゲームで遊んでいただろう。
そんな彼らが一刻も早く自分専用のスマホを持ちたがることは当然の流れだ。新学年を迎えるこの時期は、親も子供にスマホを持たせることを検討する季節でもある。なぜなら、学年が上がることをきっかけに生活のスケジュールが変わるからだ。
スマホデビューは中学入学が契機となることが多い。その理由は、部活や塾などで帰宅時間が遅くなるため連絡手段としてLINEを始めさせたいこと、キッズケータイから携帯電話に移行せずスマホにしてしまうこと、子供同士の連絡でもスマホアプリが欠かせなくなることなどが挙げられる。
しかし最新の調査では自分専用のスマホを持つ小学生が増え始めていることが分かった。MMD研究所(東京・港)が20年1月に発表した「今年初めてスマートフォンを持つ子どもの親に関する意識調査」によると、「初めてスマートフォンを購入した時期」は小学生が40.1%と最も多く、次いで中学生が35.4%、高校生が18.6%となっている。実際に自分専用のスマホを所有している割合は小学1年生が3%だが、小学6年生では22%と高学年になるにつれ上昇していく。さらに家族での共有を含めれば、61%の小学6年生がスマホを利用している(NTTドコモ モバイル社会研究所が19年8月に公表したデータ)。
これだけ身近になっているスマホだが、小学生はスマホで何をしているのだろうか。
動画閲覧に夢中の小学生、音声検索も使いこなす
幼い頃からYouTubeでアニメや子供番組を閲覧するのに慣れ親しんでいる今の小学生が、ネットで動画を見るのは日常的な行為だ。学研教育総合研究所の小学生白書(19年8月)によると、スマホやパソコン、ゲーム機で最も行っているのが「動画の閲覧」で78.2%に上る。1日の閲覧時間は平均44分で、テレビの平均視聴時間1時間15分と比較すると、テレビ離れというほどではないが動画の閲覧時間と大きな差がないことが分かる。
YouTubeで好きな動画を探すとき、彼らは音声検索も普通に利用する。フリック入力などの文字入力は低学年ほど難しいからだ。Google音声入力やSiriなどを呼び出し、キーワードを入力する。「一度音声検索を覚えてからは、簡単に動画を検索できるようになった」と、ある小学1年生の母親が驚きながら話してくれたが、珍しいことではない。キーボードアレルギーの大学生の話がよく取り沙汰されるが、今後はフリック入力ですら面倒に感じる世代が出てくるのだろう。
次点は「ゲーム」(76.9%)で、1日平均45分と実は動画の閲覧とそれほど変わらない。本調査はゲーム機を含めた結果だが、スマホに絞っても動画閲覧とゲームはよく行われている。
では、通信機器に限定していない「小学生が楽しいと感じるとき」の結果はどうか。実はこちらも「テレビゲーム・携帯ゲーム」が圧倒的だ。ただし小学生高学年になると、男女で少し違いが出てくる。女子は「友達とおしゃべり」が上位に入ってくる。これには中学生以降のスマホ利用の傾向が既に表れていて、男子がゲーム、女子はSNSへと移行していく。
世界保健機関(WHO)が19年5月に「ゲーム障害」を国際疾病として認定したことからも分かるように、ゲーム依存は小学生だけの問題ではなくなっている。ゲームは長く遊ばせるような仕掛けがなされているので当然といえば当然だが、イマドキの保護者が子供のゲーム好きに頭を悩ませている実態が浮かび上がる。
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