情報機器大手のコニカミノルタが、主に中小企業を狙ったBtoBの新規事業を、2019年から本格的に日本で展開し始めた。プリンターやスキャナーの機能を併せ持つ「複合機」とサーバーを使って、クラウドと連結されたITサービスのプラットフォームを提供。提供するサービスに対する従量制課金で、長期的に安定した収益の確保を目指す。

コニカミノルタのWebサイト
コニカミノルタのWebサイト

 コニカミノルタの新たな取り組みの核となるのが、「Workplace Hub(ワークプレイス・ハブ)」である。既存の複合機に接続する形で、強固なネットセキュリティーを施したサーバーを1台設置し、Workplace Hubとする。ユーザーはこのWorkplace Hubを、部署内にWi-Fiを飛ばすルーターとして使ったり、文書ファイルなどさまざまなデータを保存するストレージとして活用したりする。

 また、新たに設置したサーバーをエッジコンピューターとして位置付け、外部のクラウドサービスと連携。クラウドを経由して、コニカミノルタが運営するマーケットプレイス上にある必要なアプリを利用したり、同社が運営するデータセンターにデータをバックアップとして保存したり、故障を予測して事前に対処したりする同社提供のサービスを利用できる。アプリについてはクラウド経由ではなく、ユーザー企業内に置くオンプレミスの形で利用することも可能だ。「複合機とエッジサーバー、クラウドの組み合わせで、職場で必要なITサービスを過不足なく、低コストで提供することを目指す」(コニカミノルタ常務執行役の仲川幾夫氏)という。

コニカミノルタが新たに取り組むサービスを示す概念図
コニカミノルタが新たに取り組むサービスを示す概念図
ユーザー企業のオフィスに置かれた複合機+サーバーを軸に、Wi-Fiやプリンター、ストレージ、職場での情報共有ツール、IT資産やユーザーの管理機能などに加え、その職場のビジネスに必要なさまざまな機能をITサービスとして提供し、月額課金と従量制課金の組み合わせで、利用量に応じた利用料を得て収益化を図る

プラットフォームの構築を目指す

 コニカミノルタがこの新たな取り組みでもくろむのは、ユーザー企業やパートナー企業にビジネスの“場”を提供し、継続的に収益を上げる、プラットフォームビジネスの構築である。

 CRM(顧客関係管理)やCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)などの領域で、大掛かりなシステムを経営陣主導で導入したのに、実際にはほとんど利用せず、投資が効果を生んでいないという中小企業は少なくない。そんな中小企業にとって、スペースが限られる狭い現場での積極的な活用を念頭に、Workplace Hubというプラットフォームを導入することは、今後の選択肢の中の重要な一手になる。プリンターやストレージといった機能はもちろん、プラットフォーム上で提供されるアプリの利用により、ビジネスに必要なさまざまな機能を、一定の月額課金と使った分だけ支払う従量制課金を組み合わせた形で利用することができるわけだ。使い勝手はかなり良い。

 またWorkplace Hubはコニカミノルタにとって、パートナー企業のサービスを招き入れるプラットフォームとしても位置付けられる。例えば、米HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)は複合機と併設するサーバーを、米マイクロソフトはマーケットプレイス上にあるいくつかのアプリを、それぞれ提供。主に従量制課金で得られた売り上げを、あらかじめ決められた割合でコニカミノルタと案分して得ている。今後もユーザー企業の要望に応える形で、主にアプリを提供するパートナー企業を順次増やしていく予定だ。

 仲川氏は、「私たちが提供するITサービスに対して、ユーザーが使用量に応じて料金を支払うリカーリングモデルをいち早く確立できれば、長い目で見て高い収益が期待できる」と今回の新たな取り組みの狙いを語る。

 コニカミノルタがまずWorkplace Hubの浸透を目指すのは、現場の判断で導入を決めやすい中小企業のオフィス。それに加えて、業務の遂行に必要なアプリをあらかじめ選定して、「介護施設」「工場」「小売り」といった業態ごとに売り込むことも計画している。

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