Sansanから50億円、そして伊藤忠商事から100億円超の資本参加──。データ活用のウイングアーク1st(東京・港)が、再上場に向けた資本政策を積極的に進め、業務提携を重ねている。データ活用のプラットフォームから、さらにサードパーティデータの提供へ一歩踏み込み、ユーザー利便を高める戦略だ。
伊藤忠商事は2019年12月23日、伊藤忠テクノソリューションズと共同で、ウイングアーク1stに24.5%の出資をしたと発表した。11月1日には名刺管理のSansanが11.44%に相当する株式を取得。そののち帝国データバンクも出資した。
自らの資本構成をガラリと変えて、ウイングアークは何をしようとしているのだろう。田中潤社長に問えば、こう返ってきた。
「データをマーケティングに活用するにしろ、業務効率化に使うにしろ、顧客企業はデータを集めたいわけでも、それらを整理したいわけでもない。データを使って意思決定をしたいのである。だったらデータがすぐに使えます、といった環境を整えてあげたい。Sansanの名刺データ、帝国データの取引データなどを、使い勝手よく提供したい。それがこのところの資本業務提携の狙いである」
ウイングアークのサービスの最大の特徴は、様々なデータを整理して使いやすい状態で顧客に提供できる点だ。世にあふれるデータが増えればそれだけ価値が上がる。看板商品は帳票基盤の「SVF」、集計・分析の「Dr.Sum」、情報活用ダッシュボードの「MotionBoard」である。
通常のデータ活用ベンダーなら、これらを売ることに専念するのだろうが、かねて同社は様々なデータを紹介しその活用の促進に力を注いできた。「サードパーティ・データ・ギャラリー」というサービスで、文字通り、第三者データを一覧にしたギャラリーである。
ギャラリーでは例えば、ナビタイムジャパン(東京・港)が提供する「訪日外国人エリア滞在分布データ」や、ドコモ・インサイトマーケティング(同)の「モバイル空間統計」などが紹介されている。人口や世帯に関する統計データ、ライフスタイルや医療・介護に関するデータなどもある。
精緻にカテゴリー分けされたサードパーティデータを提供する会社は、国内にあるようで実はそう多くない。ウイングアークはこれを手掛ける企業の1つと位置づけられる。
今回の資本業務提携は、このギャラリーの付加価値を高めることが狙いとも言える。提携で新規に得られるデータを、このギャラリーで紹介していくことになる。
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