大塚製薬はドリンクタイプの栄養補助食品「カロリーメイト」に、新たに3種類のドリンクを加えた。名称は「カロリーメイト リキッド」。メーンターゲットは、知的作業への集中力が求められるビジネスパーソン。36年前にカロリーメイトを普及させた、対面での「商品説明」と「試飲」で着実な浸透を図る。
10月7日、大塚製薬はドリンクタイプの栄養補助食品「カロリーメイト リキッド」を発売した。価格は1本200円(200ml、税別)で「カフェオレ味」「フルーツミックス味」「ヨーグルト味」の3種類。もともと、カロリーメイトブランドのドリンクタイプ(カロリーメイト缶)は「カフェオレ」「コーヒー」「ココア」「コーンスープ」の4つがあったが、今回の新商品と入れ替わり、販売を終了。根強い人気のあったカフェオレのみリニューアルされた。
新商品のポイントは飲みやすい味にしたこと。そして、栄養面の強化だ。これまでタンパク質はカフェオレ味のみ10グラム入っており、他の商品は7.6グラムだったものが、3種類とも10グラムで統一された。また、1日に必要なビタミンの約半分を摂取できる。
生産性を高めたいというニーズに応える
ドリンクタイプの新商品投入の背景には、朝食の代替手段として、飲むヨーグルトやスムージーなどが普及していることがあった。そうしたドリンクに対するカロリーメイトの強みはタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂取できることだ。ドリンクタイプの「カロリーメイト」があらためて、「社会的な健康課題解決に役立つ」(大塚製薬で「カロリーメイト」を担当するプロダクトマーケティングマネージャーの岩﨑央弥氏)と考えた。
別の側面もある。カロリーメイトのドリンク缶はもともと、病院向けの濃厚流動食から開発されアスリートに支持された。それが働き方改革もあって今や「ビジネスパーソンは、短い時間でより高いパフォーマンスを求めている」(岩﨑氏)という時代の変化が生じている。アスリートのような集中力・持続力が今やビジネスパーソンにも必要になったというわけだ。
大塚製薬によると大半のビジネスパーソンは朝食の重要性を理解するものの食事の時間が短く、栄養が炭水化物に偏りがち。そこで栄養を補助するために、ドリンクタイプを飲んでもらおうというのが大塚製薬の提案だ。つまり、ビジネスパーソンの朝がターゲットだ。
丁寧な説明こそ強い
カロリーメイト(ブロックタイプとドリンク缶)の発売は1983年。類似の商品は当時存在せず、普及には王貞治氏のCMに加え、全国のアスリートを直接回って、バランス栄養食の価値を説明する努力が実を結んだという。今回もテレビCMなどメディアからの情報発信はもちろん行うが、「昔も今も大塚の強み」(岩﨑氏)という最終的なユーザーのもとに出向く、地道な活動に力を入れる。
具体的には、知的作業への高い生産性が求められ、健康経営に関心が高い企業を回って、商品の魅力を説明したり試飲の機会を提供したりすることで、「カロリーメイト リキッド」のファンを増やしていくという。
昔のファンを呼び戻す
36年の歴史を持つカロリーメイトブランドには現在、ブロックタイプ、ゼリータイプ、ドリンクタイプの3つがある。それぞれの販売数や比率は非公開だが、主力はブロックタイプだ。いつでもどこでも食べられる食事として、若者の支持が今も高い。
年齢を重ねると、かつてのブロックタイプの愛好者も食欲が低下し、食べる機会が減っていく。しかし、ドリンクタイプなら、そうしたカロリーメイトから一度、離れたユーザーを取り戻す効果も期待できる。ブロックタイプは受験シーズンなどにテレビCMを打つといった啓蒙活動を続ける一方で、ドリンクタイプで、ビジネスパーソンのシェアを取りに行く。こうした戦略には、昔のファンをカロリーメイトブランドに呼び戻すという側面もある。
(画像提供/大塚製薬)