大丸松坂屋百貨店とベンチャー企業のuni’que(ユニック、東京・渋谷)は2019年10月1日、定額で付け替え放題のネイルサロン「YourNailサロン」を開始。大丸松坂屋が展開するセルフ型美容品ストア「アミューズ ボーテ」の名古屋店、町田店内に出店した。2カ月間限定の実証実験を経て、本格展開を目指す。

大丸松坂屋百貨店とベンチャー企業のuni’que(ユニック、東京・渋谷)は2019年10月1日、定額で付け替え放題の定額制ネイルサロン「YourNailサロン」を、大丸松坂屋百貨店が展開するセルフ型美容品ストア「アミューズ ボーテ」内で始めた
大丸松坂屋百貨店とベンチャー企業のuni’que(ユニック、東京・渋谷)は2019年10月1日、定額で付け替え放題の定額制ネイルサロン「YourNailサロン」を、大丸松坂屋百貨店が展開するセルフ型美容品ストア「アミューズ ボーテ」内で始めた

 YourNailサロンは定額制で使い放題のセルフサービス型ネイルサロン。事前にサイト上で来店日や時間を予約して利用する。セルフサービス型でわずか20分でネイルの付け替えが完了する、時短ネイルサロンであることが同店舗の強みだ。通常のネイルは専門家による施術に2時間程度がかかる。また、プランで決められた利用可能な時間内なら毎日付け替えできるため、家事などでネイルが剥がれても、追加料金がかからず貼り直せる。昨今、定額制のネイルサロンが増加しているが、YourNailサロンは定額制に時短という価値を加えることで独自性を打ち出す。

 時短ネイルサロンはネイルシールを活用することで実現した。用意されているネイルシールを貼り、やすりで削って、爪のサイズに合わせるだけで完成する。このネイルシールは、uni’queの祖業だ。同社は18年からネイルシールのネット通販事業「YourNail」を展開している。同サービスは利用者がYourNailのスマートフォンアプリを使って、自分でデザインしたネイルシールを注文できるのが特徴。制作したデザインはアプリ上で公開され、他の利用者も注文できるようになる。これまでに利用者が作りだしたデザインは12万点に及ぶ。

ネイルシールのネット通販事業「YourNail」は、利用者から12万点超のネイルシールのデザインが投稿されている
ネイルシールのネット通販事業「YourNail」は、利用者から12万点超のネイルシールのデザインが投稿されている

アプリで取得した顧客の声生かす店づくり

 uni’queはYourNailで人気を集めるデザインのシールの制作者に協力してもらい、ネイルサロン向けに新たに20種類のデザインを制作した。ハロウィンなどの季節性を反映したデザインとなっている。ネイルサロンの利用者は、店舗に用意されているネイルシールの中から好きなデザインを選び、セルフサービスで爪に貼って利用する。

 シールといえども侮るなかれ。シールを貼った上から店舗に用意されているコーティング剤を塗ることで、光沢のあるジェルネイルのような仕上がりになる。「見た目はほとんどジェルネイルと変わらない」とuni'que代表取締役CEO(最高経営責任者)の若宮和男氏は言う。

シールの上からコーティング剤を塗り、ライトでコーティング剤を硬化させるだけで完了する
シールの上からコーティング剤を塗り、ライトでコーティング剤を硬化させるだけで完了する

 実はデザインだけでなく、そうした活用ノウハウも、利用者からヒントを得ている。YourNailには利用者同士がネイルなどについて会話できるコミュニティー機能がある。このコミュニティーの中で利用者同士が「コーティングすることで、見た目はほとんどジェルネイルと変わらなくなるといった提案をし合っている」(若宮氏)。ネイルサロンにコーティング剤を設置したのは、このアイデアを参考にした。

 YourNailサロンのプランは2つ。平日の午前10時~午後5時に通い放題で月額2000円(税抜き)のプランと、全日通い放題で月額4000円(同)のプランだ。手早く、安価にネイルを楽しめるプランを提供することで、既存のネイルサロンとは異なる価値を提供する。利用者は会員登録後、専用サイトからネイルサロンを利用したい時間を予約して来店する。

 安価なプランは主に主婦層がターゲットだ。世の中の女性のうちネイルを楽しめているのは約3割にとどまる、という調査結果もある。障壁の1つが時間だ。家事や子育てに追われ、ネイルサロンでゆっくり施術を受ける時間がない主婦層でも、気軽にネイルを楽しめるサービスの提供を目指す。4000円のプランは会社員など、働く女性を想定している。平日でも昼休みなどに利用できるほか、休日も利用できるプランとなっている。

 主婦層は、平日の昼間が閑散期に当たる百貨店にとっても取り込みたい顧客層だ。使い放題のネイルサロンの展開によって、ネイルの付け替えが習慣化されれば、定期的な来店が見込める。

大丸松坂屋百貨店が協業を決めた理由

 この点に魅力を感じて、大丸松坂屋百貨店は共同事業の展開を決めた。「平日の午前中は来店客数は少ない。(平日限定の)安価なプランの提供で、閑散期の来店者増加につなげたい」と大丸松坂屋百貨店本社営業本部事業推進室アミューズポーテ事業部スタッフの中垣麻衣氏は言う。ベンチャー企業のuni’queは、大丸松坂屋百貨店と協業することでテナント料がかからず、一等地に店を構えることが可能になる。ネイルサロンの売り上げは2社間で分け合う。

ネイルシールを活用することで、小スペースでの店舗出店を可能にした
ネイルシールを活用することで、小スペースでの店舗出店を可能にした

 ネイルサロンは大丸松坂屋百貨店が展開するアミューズボーテ内に設置した。アミューズボーテはセルフサービス型美容品の専門店。独立したブランドとして、大丸松坂屋以外の百貨店にも展開している。今回、ネイルサロンを構えるのも名古屋こそ松坂屋名古屋店内だが、町田は小田急百貨店町田店となる。

 出店場所としてアミューズポーテ内を選んだのは、相乗効果が期待できるからだ。「女性は爪がきれいになると、髪や肌も手入れをしたくなる連動性がある。ネイルサロンの来店者はコスメなどとのクロスセルが期待できる」と中垣氏は話す。とはいえ、通常のネイルサロンは器具やネイリストの配置など一定規模のスペースが必要になる。シールを活用したネイルサロンは小規模で展開できるため、場所的な制約に縛られないことで出店が可能になった。

 まずは19年10月1日から2カ月間限定で実験的に提供する。会員数も当初は各店舗20人ずつと絞る。「適した会員数は未知数。あまりに増やして、ネイルサロンの予約が取れないと付け替え放題の価値が提供できなくなる」(若宮氏)ため、まずは少人数から始める。会員の来店頻度、価格設定、予約の多い時間帯、店舗への集客貢献度などをKPI(重要業績評価指標)に設定して効果を分析する。その結果に基づいて店舗ごとの会員数の上限の設定や、サービスに改善を施し、本格展開につなげたい考えだ。

この記事をいいね!する