eスポーツの話題性が増すとともに、非ゲーム系企業がeスポーツ大会やeスポーツチームを支援するケースが増えている。お菓子の「ベビースターラーメン」で知られるおやつカンパニー(津市)もその1つ。同社は名古屋に拠点を置くeスポーツチーム「名古屋OJA」のシャドウバース部門のオフィシャルパートナーを務める。テレビCMや雑誌広告などと違い、直接的な効果が見えにくいeスポーツへの協賛は、企業にとって何をもたらすのか。また、企業は何を目標に協賛を続けるのだろうか。

おやつカンパニー取締役専務執行役員マーケティング本部長の髙口裕之氏。隣にいるのは「ベビースター」の3代目キャラクターの「ホシオくん」
おやつカンパニー取締役専務執行役員マーケティング本部長の髙口裕之氏。隣にいるのは「ベビースター」の3代目キャラクターの「ホシオくん」

 おやつカンパニーが支援する名古屋OJAは、2016年に発足した名古屋を拠点とするeスポーツチーム。ゲームジャンルによって3つの部門に分かれており、このうちスマートフォン向けのコレクティブカードゲーム『Shadowverse(シャドウバース)』の部門が、18年3月におやつカンパニーとオフィシャルパートナー契約を結んだ。現在はShadowverseのプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League」に参戦している。

おやつカンパニーが支援する「名古屋OJA ベビースター」。ユニフォームにベビースターのキャラクター「ホシオくん」をあしらっている。「RAGE Shadowverse Pro League 19-20ファーストシーズン」は残念ながら7位に終わった
おやつカンパニーが支援する「名古屋OJA ベビースター」。ユニフォームにベビースターのキャラクター「ホシオくん」をあしらっている。「RAGE Shadowverse Pro League 19-20ファーストシーズン」は残念ながら7位に終わった

 「当初のきっかけは、名古屋OJAからの声掛けだった」とおやつカンパニー専務執行役員マーケティング本部長の髙口裕之氏は振り返る。

 現在、eスポーツは都市部を中心に盛り上がっているが、徐々に地方で活動するチームも登場しつつある。名古屋OJAもその1つで、「地域に根付いたチームを目指すうえで、東海地方に関わりが深い企業をスポンサーとして探して、我が社に白羽の矢が立った」という。

 当時は今ほどeスポーツが話題になっていなかったが、決定に迷いはなかったそうだ。決め手を問うと、髙口氏は「長年マーケティング事業に携わってきた嗅覚としか言いようがないのだが」と前置きしつつ、大きく4つの狙いを挙げた。

「eスポーツはそれ自体がメディアだ」

 1つ目は、レトロなイメージからの脱却だ。「当社の主力商品であるベビースターラーメンは、誕生から60年。おかげさまで駄菓子の定番として認知されている一方、『レトロ』『懐かしい』といったイメージも伴う。ともすると古臭いと捉えられかねない。時代の変化に合わせて、もっと現代的なイメージを付与したい。それにはデジタル時代を象徴するeスポーツは最適だった」(髙口氏)。

 2つ目は、若い世代との接点だ。ベビースターラーメンは、ライフタイムバリューが大きい商品で、子どもの頃に慣れ親しんだ人が大人になっても愛好するケースが多い。その結果、ファンの中心は30代~40代まで年齢が上がった。根強いファンがいるのはよいことだが、新たな世代が入ってこないのは問題だ。そこで、次世代とのタッチポイントとして、10代~20代のファンが多いゲームやeスポーツに目を付けた。

 3つ目は、「eスポーツはそれ自体がメディアになり得る」(髙口氏)ことだ。eスポーツは、ゲームによる対戦をネットで配信、ユーザーはそれをパソコンやスマートフォンで視聴する。「eスポーツに関わることで、ユーザーにダイレクトに情報を届けられる」と髙口氏は見る。

 しかも、「早期に参入するからこそ、そのメリットは大きい」と髙口氏。「マーケットの原理と同じこと。新たな市場は先行することで参入コストを抑えられる。今は小さな規模でも、今後成長すれば、自然と我々の知名度も上がっていくだろう」。そのとき、競合が入ってきても、開拓者としてのイメージや立ち位置はむしろ維持されるとも話す。

 こうしたイメージ戦略と併せ、視野に入れているのが4つ目の狙い、新規販売チャネルの拡大だ。スーパーやコンビニエンスストアといった従来の取引先とは別に、eスポーツのコミュニティーを生かした売り方や売る場所などを掘り起こせるのではないかと考えている。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>