ブランドの立て直しには、どのくらいの時間がかかりますか?

森岡氏 数年はかかるとみています。

うどんで世界を制覇する

森岡さんは以前から、小売業全般に高い関心を持たれていますね。

森岡氏 小売業界を変えたいと本気で思っています。丸亀製麺との協業は、この日本社会に有用な小売業の成功モデルを打ち立てることも意味しています。

 アマゾンに代表されるeコマース革命は、早くも次の経済革命を引き起こしています。価格、品ぞろえ、店までの距離によって、人が買い物をする場所を選ぶ時代は終わりました。この3つの価値だけで勝負している所は、すべて潰れるでしょう。では、それに変わる新しい価値は何か。私は、感動や体験、自己実現が軸になると考えます。人が欲しいのは、ものだけじゃない。小売業の実店舗は、リアルな体験を提供し、感動を発生させる装置に生まれ変わらないと、未来がありません。要はネットショッピングでは手に入れられない価値が、あるかどうかです。デジタルゲーム全盛の時代に、テーマパークに人が集まるのも、そこにリアルな感動や体験があるからです。

 玩具販売のトイザラスが米国で倒産したのは、この点に気付かなかったためです。日本では健闘されていますが、玩具と出合うときめきや感動をビジネスに取り入れれば、成功するはずです。

 このように新たな価値を定義してブランドにする技術があれば、まだまだ日本は元気になるということを、多くの経営者に知っていただきたい。

丸亀復活のカギを握るのが、「出来たての感動」だと強調されていたのも、まさにその理由からですね。

森岡氏 うどんは日本食の代表の一つ。つまり丸亀製麺の店でおいしいうどんを食べる体験は、クールジャパンそのものです。うどんは世界の麺のなかでも最大級の直径がありますから、他では得難い食感と味わいを提供できる。丸亀は既に海外に200店舗ほど展開していますが、さらなる拡大も難しいことではない。うどんが世界を制覇する日も遠くないと信じています。

丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスの粟田貴也社長(左)と、マーケティング精鋭集団「刀」の森岡毅氏。2018年9月から正式にタッグを組み、本格復活を目指す
丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスの粟田貴也社長(左)と、マーケティング精鋭集団「刀」の森岡毅氏。2018年9月から正式にタッグを組み、本格復活を目指す
著書『マーケティングとは組織革命である。』(日経BP)に書かれた人事システム化の内容が今後、丸亀復活に生きるという
著書『マーケティングとは組織革命である。』(日経BP)に書かれた人事システム化の内容が今後、丸亀復活に生きるという

(写真/大髙和康)