駅構内のロボットや画面に映るキャラクターに質問を投げかけて、対話しながら回答を得る。まるでSF映画のような風景が当たり前になっていくかもしれない。JR東日本グループは乗客の質問に答える案内AI(人工知能)の実験を都内と横浜の駅で始めた。インバウンド対応の強化にも役立てる考えだ。

2018年12月から開始したフェーズ1の実験で東京駅地下に設置された「AIさくらさん」(写真/菊池くらげ)
2018年12月から開始したフェーズ1の実験で東京駅地下に設置された「AIさくらさん」(写真/菊池くらげ)

 「ラーメン食べたい」「駅ビル内に豚骨ラーメンのお店がありますよ」。「鎌倉駅に行きたい」「ルートはこちらになります」。音声やタッチパネルの操作で自分の希望や質問を投げかけると、画面のキャラクターが声で案内し、地図も表示してくれる。

7月下旬には、実証実験で使用する10種類のAI案内サイネージ・ロボットを品川駅で公開した
7月下旬には、実証実験で使用する10種類のAI案内サイネージ・ロボットを品川駅で公開した

 JR東日本グループが、そんな案内AIの実証実験を開始した。人間の駅員に代わり、AIが駅の施設や周辺の案内をする実証実験「案内AIみんなで育てようプロジェクト(フェーズ2)」だ。2019年8月5日から11月10日まで実施する。東京、品川、新宿、池袋などJRのターミナル駅のほか、横浜駅、東京モノレールの羽田空港国際線ビル駅など8駅30カ所に、35台のAI案内システムを設置する。

 AIのシステムは、デジタルサイネージ型のほか、画面とロボットを組み合わせたものなど10種類。例えば、システム開発のティファナ・ドットコム(東京・目黒)の「AIさくらさん」はデジタルサイネージ型。タッチパネル画面にアニメ風のキャラクターが現れ、案内してくれる。トランスコスモスと日本オラクルはシャープ製の小型ロボット「ロボホン」が身ぶり手ぶりで話しかけるシステムを設置する。そのほかNEC、ソフトバンク、凸版印刷、日立製作所などが参加する。

 案内AIの実験は、18年末から19年3月まで実施したフェーズ1に続く2回目となる。前回は全期間を通して約30万件、1日に換算すると1台当たり150件ほどの利用があった。その利用動向を分析し、「いくつかの課題解決を図った」(JR東日本 技術イノベーション推進本部ITストラテジー部門部長の佐藤勲氏)と同時に、9~11月のラグビーのワールドカップ開催を踏まえて外国人対応を強化したのが、今回のフェーズ2だ。

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 フェーズ1で見つかった課題の1つは「認知不足」。既に駅の構内には、多数の案内板や広告サイネージがある。ポスターで「実証実験中」と掲示していても、そこに案内AIがあるとは認識されず、素通りされてしまう傾向があった。今回は駅構内の地図を示す総合案内板の近くにAI案内の機器を設置することで、知りたいことがある人がすぐに使えるようにしている。

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