ホンダ二足歩行ロボットがルーツ

 ホンダが開発した歩行訓練機器「Honda歩行アシスト」は18年12月に米FDAの認証を取得した。これにより実証実験だけでなく、米国での本格的な事業展開を目指せるようになった。18年1月に取得した欧州の医療機器指令(MDD:Medical Device Directive)に次ぐもので、Honda歩行アシストの信頼性や機能が米国でも認められたことになる。

 Honda歩行アシストは、病気による後遺症などで歩行に影響がある人を支援する機器だ。二足歩行ロボットとして知られるホンダの「ASIMO(アシモ)」が技術的なルーツで、独自の「倒立振子モデル」に基づくという。

 腰フレーム、モーター、大腿フレームの3つで構成され、腰フレームの両側にモーターを配置し、背中部分に制御用のコンピューターとバッテリーを内蔵している。歩行時の股関節の動きを左右のモーターに内蔵された角度センサーで検知し、制御コンピューターがモーターを駆動。股関節の屈曲による下肢の振り出しを誘導したり、伸展による下肢の蹴り出しの誘導を行ったりすることで、歩行をサポートする。

 連続的な歩行だけでなく、訓練に応じた3つのモードを搭載。付属のコントローラーを使えば、モードの設定や左右の脚に対する股関節の屈曲と伸展のサポートの強度設定ができる。

 歩行時の左右対称性や可動範囲、歩行速度なども計測するため、歩行の状況をすぐに確認できる。ユーザーごとに計測履歴を参照したり比較ができたりする他、パソコンで集計することもできるようにした。

 「国内では15年より医療施設などに向け、歩行訓練機器として月4万5000円(税別)でリース販売を開始した。すでに全国の約250の施設で活用され、大きな効果を生んでいる」(ホンダのパワープロダクツ事業本部事業企画部歩行アシスト事業課の浜谷一司課長)。18年には中国でも実証実験を始めており、新たな市場開拓が期待できそうだ。

 高齢化社会のなか、認知症などさまざまな病気はもちろん、リハビリの必要性は以前よりも増している。デザインの力で医療をどこまで後押しできるか、今後に期待したい。

ホンダが開発した歩行訓練機器「Honda歩行アシスト」
ホンダが開発した歩行訓練機器「Honda歩行アシスト」
独自の「倒立振子モデル」に基づき、腰フレーム、モーター、大腿フレームの3つで構成。腰フレームの両側にモーターがあり、背中部分に制御用のコンピューターとバッテリーがある。歩行時の股関節の動きを左右のモーターに内蔵した角度センサーで検知して歩行を支援する。重量は約2.7kg(バッテリー含む)で、稼働時間は約60分
独自の「倒立振子モデル」に基づき、腰フレーム、モーター、大腿フレームの3つで構成。腰フレームの両側にモーターがあり、背中部分に制御用のコンピューターとバッテリーがある。歩行時の股関節の動きを左右のモーターに内蔵した角度センサーで検知して歩行を支援する。重量は約2.7kg(バッテリー含む)で、稼働時間は約60分

(写真提供/産業技術総合研究所、ホンダ)


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