リサイクルショップチェーンのコメ兵はバッグや財布、キーケースといったブランド品の真贋をAI(人工知能)で見極めるAI真贋システムを開発している。2019年4月をめどに実店舗へ導入する予定だ。

画像データと膨大な教師データを基に、AIがReal(本物)、Fake(偽物)、そしてHold(グレー)という判定を下す
画像データと膨大な教師データを基に、AIがReal(本物)、Fake(偽物)、そしてHold(グレー)という判定を下す
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 現在コメ兵では、客が持ち込んだ商品の布の縫い方や素材などを、鑑定士が10倍ルーペを使って目視で確認し、真贋を判定している。AIを導入することで5分程度かかっている真贋判定を数秒に短縮できるという。

 具体的には、まずデジタルカメラで商品全体などを撮影して型番を判定。さらに最大300倍のマイクロスコープを使って縫い目など複数箇所の詳細画像を撮影。こうした画像データと膨大な教師データを基に、AIがReal(本物)、Fake(偽物)、そしてHold(グレー)という判定を下す。Holdと判定された商品は、鑑定士が確認して最終判断をする。

 AI真贋は仏高級ブランド「ルイ・ヴィトン」のバッグや財布、キーケースなどから始める。既に97%以上の精度を確保しているが、「4月の店舗導入時には99%の精度を目指している」と、AI真贋システム開発プロジェクトを率いる山内祐也経営企画本部長経営企画部長兼事業開発部長は語る。

年々精巧になっている偽ブランド品

 コメ兵が真贋判定にAIを導入することにしたのは、日本で偽ブランド品流通が急増し、しかもその“巧妙さ”が高まっているからだ。「特にルイ・ヴィトンの2018年モデルの偽物は“精度”が高く、業界でも真贋を見極めるのが難しいことが話題になったほど」と山内氏は明かす。

 こうした事態に対応するため、コメ兵も鑑定士の育成に力を注ぐが、「1つの商材でも(鑑定技術をマスターするのに)半年~1年はかかる」(山内氏)。また、能力の高い鑑定士の育成は“諸刃の剣”でもある。「万一、本物を見分ける情報が偽物業者に流出したら、偽物の精度を高めることにもなりかねない」(同)。実は同社はアジアを手始めにグローバル展開を計画しており、日本よりも離職率が高いと想定される海外現地で、日本と同様の鑑定士育成をすれば、情報や技術の流出リスクが高まりかねないという懸念があった。

名古屋本店を手始めに、各店舗へと横展開するとともに、対応するブランドやアイテムも順次、増やしていく
名古屋本店を手始めに、各店舗へと横展開するとともに、対応するブランドやアイテムも順次、増やしていく
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 真贋判定用のエンジン開発は、シンガポールのAI開発会社であるNeural Squared PTEが担当。AIベンチャーUsideU(東京・文京)の高岡淳二社長が2社に対するアドバイザー役になるというチーム構成で進めている。

 「AIに真贋を判定させるには、本物と偽物とを正確に教え込む必要がある。それができる匠(鑑定士)が当社には複数名いる。また精度向上に欠かせないのは大量のデータだが、当社の買い取り数は年間約140万点で、法人向けオークション金額は約250億円と日本最大級。こうした取り扱いで得られる膨大なデータと匠の知識があるからこそ、精度の高いAIが開発できる」(山内氏)。

 4月に導入予定の名古屋本店を手始めに、各店舗へと横展開するとともに、対応するブランドやアイテムも順次、増やしていく計画だ。