メルカリが開催したイベント「Design meetup リブランディングの舞台裏」が注目を集めた。2018年リニューアルを発表した同社運営のフリマアプリ「メルカリ」の新しいロゴと、新しい企業ロゴのデザインの狙いや開発プロセスなどを、外部の一般デザイナー向けに説明。今後の成長を狙い、多くのデザイナーの獲得に動いているといわれる同社ならではのイベントだ。

メルカリの新ロゴ(上)と旧ロゴ(下)
メルカリの新ロゴ(上)と旧ロゴ(下)

 会場には同社の会議室を活用。リブランディングを主導する同社「CXO Design Team」からCXO室の井上雅意デザイナーの他、外部パートナーのTakramから田川欣哉代表と弓場太郎リードデザイナーが、PARTY NEW YORKからは川村真司クリエイティブディレクターが参加。井上デザイナーも交えたトークセッションの形式で、これまでの開発の経緯や背景、苦労したエピソードを語り合った。さらに同社のデザイナーたちも会場に入り、トークセッション後の懇親会では来場した外部のデザイナーたちと意見を交換していた。

 今回のリブランディングで中心的な役割を示したのが、社内に新設されたCXO Design Teamだ。急成長している一方で全社的なブランディングの足並みをそろえる必要性を感じて設立した。CXOは「チーフ・エクスペリエンス・オフィサー」の意味。単なるブランディングだけではなく、新たなユーザー体験をつくり出すことが狙い。

 新しいロゴは、従来の「箱から飛び出すわくわく」という部分を残しつつ、要素を少なくし、より洗練されたロゴに仕上げたという。どんな利用者にも身近に感じてもらえる「フラットさ」、信頼できるマーケットプレイスとしての「公平さ」を基にデザインした。実際に考えたプロトタイプは数百種類もあり、試行錯誤を重ねたという。「ロゴの変更には時間も投資もかかるが、他社がデザインに投資していない状況なら、むしろ当社が率先して投資することで競争優位につながると経営陣は認識したため、デザインを企業戦略として重視するようになった」(井上デザイナー)。

メルカリは「Design meetup リブランディングの舞台裏」と題するデザイナー向けのイベントを開催
メルカリは「Design meetup リブランディングの舞台裏」と題するデザイナー向けのイベントを開催
CXO室の井上雅意デザイナー
CXO室の井上雅意デザイナー

ロゴを四角形にするアイデアも

 なぜリブランディングすべきなのか、そのために本当にロゴを変える必要があるのか。まずは経営陣も交えて、同社のミッションを徹底的に再考するところからスタートした。同社はミッションとして「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」を掲げていた。「新たな価値とは何か」「世界的とは何か」「マーケットプレイスとは」など約2カ月かけてミッションの意味を議論していった。その結果、ミッションは変えないまでも、日常的に使われながら、より大きなプラットフォームになっていくという方向性が出てきた。

 それをデザインに落とし込むため、いろいろなものを売り買いできる「わくわく感」、誰でも主役になれる「公正さ」、スムーズなサービスにつながる「なめらかさ」といったキーワードを抽出。新しいロゴに反映するようにデザインした。開発の過程では、これまでの六角形のロゴを四角形にする案もあった。正面から「メルカリ」の「m」を強く印象付けることができ、より洗練され落ち着いた印象がある。オープンでフェアなイメージも出せると考えた。一方で「メルカリ」の認知が多少落ちる可能性や六角形のボックスからの進化が分かりにくいといった意見があった。色についても、さまざまなアイデアが出た。だが、新たな認知を得るためのコストがかかるとして現状の赤をベースにした色にした。

新しいロゴをベースにさまざまなサービス展開を狙う
新しいロゴをベースにさまざまなサービス展開を狙う
新ロゴを社内向けにも展開
新ロゴを社内向けにも展開
新ロゴのボツ案も発表していた。認知獲得コストにつながるため、旧ロゴとの整合性を重視しながらも、新規性を打ち出せるロゴが選ばれたようだ
新ロゴのボツ案も発表していた。認知獲得コストにつながるため、旧ロゴとの整合性を重視しながらも、新規性を打ち出せるロゴが選ばれたようだ
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