おしゃれなイメージとゆるさが安心感生む

 同ホステルが池袋店の顧客属性を調べたところ、20~30代が85%、さらに女性客が70%を占めることが判明。利用目的別では国内旅行客と海外旅行客がそれぞれ33%、続いて都内の近郊客が29%、国内出張客が4%だった。3分の1近くを占める都内の近郊客は非日常の体験を求め、お泊まり会やサードプレイス(自宅や職場とは異なる、自分が心地良く過ごせる第三の居場所)として利用する人が多い。

 若い女性客が同ホステルを利用する理由は3つあるという。1つ目は「本をテーマにしているから」、2つ目は「ビジネスホテルより安い」、そして3つ目が「おしゃれなブランドイメージが確立されていること」。

 一般的なホステルはドミトリーと呼ばれる相部屋が基本で、慣れていない女性は多い。一方、BOOK AND BED TOKYOはホステルとしては高めの価格帯だが、デザイン性の高い内装が女性心をくすぐり、おしゃれなブランドイメージが確立されている。「隣がどんな客なのか分からないネットカフェと違い、みんなの目があるからこそのゆるいパブリック感も安心感につながっている」(力丸氏)。シングル1泊5200円という価格帯で、女性の安心感にアプローチした宿泊施設はこれまでなかったという。

 客とのコミュニケーションを大切にする店舗スタッフの存在も、女性の支持を得る大きな要因だ。フロントでチェックインするとき、カフェで注文するとき、パブリックスペースで本を読んだり、会話したりしているときも、同店のスタッフは友達のように親しげに話しかけてくる。なれなれしいと感じる人もいるかもしれないが、スタッフのオープンマインドな対応が、コミュニティーを生むきっかけにもなっている。一人旅の滞在中、安心して楽しく過ごせた体験は顧客満足につながり、ロイヤルティーを高めているようだ。

 「スタッフにはブランドイメージをしっかり伝えられ、自分の見せ方も分かっている人を採用している。SNSのフォロワー数が8万人を超えるスタッフもいる」と力丸氏。例えば、心斎橋店のスタッフはファッション感度が高く、なかには雑誌モデルを務めるスタッフもいる。ブランドイメージを発信する人材の確保は、施設のハード面以上に競合他社との差別化を図るポイントといえそうだ。

大友克洋の人気漫画『AKIRA』の単行本をばらし、アート作品のように天井から吊(つ)り下げた店内。おしゃれな店舗デザインとパブリック感が若い女性客の心をつかむ。ユニークな宿泊施設として国内外から注目されていることも、女性の安心感につながっている
大友克洋の人気漫画『AKIRA』の単行本をばらし、アート作品のように天井から吊(つ)り下げた店内。おしゃれな店舗デザインとパブリック感が若い女性客の心をつかむ。ユニークな宿泊施設として国内外から注目されていることも、女性の安心感につながっている
本好きからそうでない人まで楽しめるよう、幅広いジャンルの単行本と雑誌、洋書をそろえている。本のセレクトは本のある暮らしを提案するセレクトショップ「シブヤ パブリッシング&ブックセラーズ」が手がける
本好きからそうでない人まで楽しめるよう、幅広いジャンルの単行本と雑誌、洋書をそろえている。本のセレクトは本のある暮らしを提案するセレクトショップ「シブヤ パブリッシング&ブックセラーズ」が手がける
店舗スタッフの服装は黒で統一。ファッションや美容、カルチャーなどに関心の高いおしゃれなスタッフが多い
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スタッフが気軽に声をかけてくれるので、女性の一人旅でも安心して楽しめるのも人気の理由
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