月額定額で商品やサービスを利用できる「サブスクリプション(定期購入)型コマース」が広がっている。音楽などデジタル系サービスから始まったが、アパレル、クルマなど大手製造、流通業の参入も相次ぐ。そこに大きな商機を見いだしたのが寺田倉庫(東京・品川)だ。シェアリングサービスやサブスクリプション型コマースの構築サービス「FUN」の提供を2018年7月27日に開始した。

寺田倉庫はサブスクリプション型コマースを無料で構築できるサービスを始めた
寺田倉庫はサブスクリプション型コマースを無料で構築できるサービスを始めた

 FUNはショップ名、URLなどを決めた後、商品写真や価格、商品説明などの情報を登録するだけで無料でECサイトを始められるサービス。登録点数に制限はない。BASE(東京・渋谷)やストアーズ・ドット・ジェーピー(東京・渋谷)などの先行企業もあるが、最大のポイントは、レンタルにも対応している点だ。商品の登録時に販売かレンタルを選んで登録する。販売だけではなく月額課金制にも対応していることも特徴の1つ。

 これらの機能を組み合わせることで月額課金制で洋服などをレンタルするシェアリングエコノミーサービスや、月額課金制で毎月商品を届けるサブスクリプション型コマースなども初期費用無料で構築できる。その代わり、販売手数料の10%をシステム利用料として徴収する。

 倉庫会社である強みを生かして、商品の保管や管理を代行するオプションメニューも提供する。「WAREHOUSE CONNECT」を利用すれば、商品の保管や、返却後の検品や管理を寺田倉庫に委託できる。自社で商品管理をする手間を省ける。オプションを使う場合も保管料や商品登録料はすべて無料。レンタル時に取り出し手数料が1商品当たり70~130円、送料が1梱包当たり700~900円かかる。

 また、物品の販売やレンタル以外の有償サービスにも利用できる。例えば、レンタルスペース。FUNの予約機能を使えば、所有する空きスペースを店舗や展示会などの利用したい人向けに貸し出すといったサービスの提供も可能だ。

単品管理の実績は1700万超

 箱単位で預けられる個人向け倉庫サービス「minikura」の提供が、FUN開発のきっかけとなった。同サービスは、専用の段ボール箱に預けたい物を詰めて送るだけで保管できるサービス。預けた物は一点ずつ撮影され、管理画面上で確認できるため、何を預けているかがいつでも分かる。1700万を超える品物を保管している。

寺田倉庫は個人向け倉庫サービス「minikura」で1700万点超を取り扱う
寺田倉庫は個人向け倉庫サービス「minikura」で1700万点超を取り扱う

 寺田倉庫はこのminikuraの機能を切り出して、企業が自社サービスと連携することで、物流機能として利用できるサービス「minikura API」を提供している。このサービスの単品管理や保管するノウハウが、シェアリングエコノミーや、サブスクリプション型コマースなど、新しい事業を展開したい企業のニーズに合致した。スーツの製造販売を手がけるAOKIホールディングスはこのサービスを活用することで、月額7800円(税別)からのスーツのレンタルサービス「suitsbox」を開発した。

 こうしたニーズが高まる中、物流面に加えて、サイト構築まで一貫したサービスの提供が求められていると判断して、FUNを開発した。「貸し出して返却された物を検品して、必要であればリペアするといった機能は当社が得意な領域。それを使うことで、新事業をテスト的に始めたい企業にはうってつけのサービスになるはずだ」(寺田倉庫の月森正憲専務)。

 さらに9月以降はminikuraの利用者が、現在預けている物をそのまま商品データベースとして活用して、すぐに販売したりレンタルしたりできるようにする機能も提供する方針だ。企業だけではなく個人でも、気軽にシェアリングエコノミーサービスを展開できるようになる。

(写真提供/寺田倉庫)

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