中国EC大手の京東集団(JD.com)は自社物流のプラットフォームを持ち、顧客にオンライン・オフラインを感じさせない「ボーダーレスリテール」(無界小売り)を目指す。そのためAI(人工知能)やビッグデータ、顔認証などの先端技術を活用して無人スーパーや倉庫の無人化、ドローン導入を急速に進めている。6月に開催された同社の大規模商戦前に、訪問の機会を得た。無人化の取り組みを中心に写真と動画でお伝えする。

北京にある京東本社。社員の多くは北京市街から巡回バスで出社する。京東の職員は傘下の金融会社を除いて15万人、配送員は6.5万人だ
北京にある京東本社。社員の多くは北京市街から巡回バスで出社する。京東の職員は傘下の金融会社を除いて15万人、配送員は6.5万人だ

 京東は、EC分野でアリババに次ぐ2番手と語られがちだ。だがアリババと違うのは、自社と自社の社員で、仕入れから顧客の場所まで届ける物流の仕組みを持つところだ。最近はテクノロジー企業としてボーダーレスリテールに力を入れる。ボーダーレスリテールは同社が目指す、オンラインやオフラインの垣根を越える顧客体験、サービス提供を指す。そのために京東はAIやビッグデータ、顔認証、物流倉庫の自動化や過疎地のドローン利用など先端技術を駆使し、効率化を図っている。同社幹部は「技術の会社になる」と口をそろえる。

効率向上を求めて

 本社からバスで15分ほど走ると、自社が運営する高級スーパー「7FRESH(セブンフレッシュ)」がある。延床面積5000平方メートルの広々とした店内に商品が整然と並ぶ。野菜は有機野菜で、パッケージの表示には消費されるべき曜日が明示されている。ニュージーランド産のサーモン、カナダ産のタイ……。日本のお酒もある。輸入品が30%を占めるというスーパーには、いけすやイートインもある。

スーパー「7FRESH」。2017年12月29日にオープンした。週末には家族連れが多く訪れるという
スーパー「7FRESH」。2017年12月29日にオープンした。週末には家族連れが多く訪れるという
中国野菜の棚。パッケージには「TUE2(火曜)」と表示。取材日は火曜日で、その日に並んだもの。新鮮さをアピールしている
中国野菜の棚。パッケージには「TUE2(火曜)」と表示。取材日は火曜日で、その日に並んだもの。新鮮さをアピールしている

 同店は野菜や生鮮食品の食品履歴の開示に力を入れている。例えばいけすの魚一匹一匹にQRコードが付いており(文字通り、魚の表面に特殊加工のQRコードが貼ってある!)、消費者はスマホアプリを使い消費期限などの情報を得る。中国の顧客は食品の安全性を強く求めているとして、京東は2017年12月、米ウォルマート、米IBMそして清華大学と、中国での食品安全を認証するためサプライチェーンでの透明性を保つようブロックチェーン技術で連携したと発表している。

7FRESH内のいけす。手前のヒラメのような魚の個体すべてにQRコードが貼られていたのが分かった。ここで購入すると調理してもらって店内で食べられる
7FRESH内のいけす。手前のヒラメのような魚の個体すべてにQRコードが貼られていたのが分かった。ここで購入すると調理してもらって店内で食べられる