独自開発した新素材「LIMEX(ライメックス)」を製造・販売するTBM(東京・中央)が、新たな用途開拓を目指して商品展開を加速している。ライメックスは石灰石を主原料に樹脂を混合した複合素材で、紙のように薄く延ばせる他、プラスチックのように成型加工もできる。軽量かつ耐水性や耐久性といった特徴があり、紙やプラスチック製品の代替を狙う。さらに今後は新たな用途開発も目指す。
例えば、破れにくく水にも強い紙の名刺や本、ノート、ポスター、袋などを作ることができる。さらにプラスチック代わりとして包装容器やクリアファイル、茶碗などの分野にも注力している。

今後は家具などの表面に貼るシートへの応用を考慮したり、石油由来ではない樹脂を活用することで生分解性を持たせたライメックスを開発したりして、適用分野を広げていく。100%生分解性の素材で開発できれば、使い捨ての容器や食器などにも展開できそうだ。表面シートや生分解性の商品は2019年3月までには製品化していく計画という。

独自の延伸技術などで軽量化を実現
TBMの山崎敦義社長は以前、台湾の「ストーンペーパー」と呼ぶ素材の輸入販売を手掛けていた。これも石灰石を主原料としているが、重量などに課題があったという。そこで開発・製造手法を独自に研究し、日本製紙の元専務取締役で技術者の角 祐一郎氏(現在はTBM会長)にも参画してもらい、実用化を推進。新しい延伸技術などを採用したことで、ライメックスの軽量化につなげたという。
14年にライメックスの国内特許を取得し、基本特許も海外40カ国以上で取得・出願中。水や木材パルプを使用せず、石油由来原料の使用量を抑えるといった環境に優しい点が評価され、電通がデザインしたライメックス製の名刺が17年度グッドデザイン・ベスト100に選定された。1箱100枚の名刺で約10リットルの水を守れるといった点を強調し、水資源への貢献を認識しやすいデザインを名刺に施している。
生産体制も整えており、15年2月には宮城県白石市の工場が完成。宮城県多賀城市にも新たな拠点を建設する計画だ。環境への配慮がますます問われる時代にあって、ライメックスの存在はさらに注目を集めそうだ。

