米サンフランシスコ市内や周辺地域で最近、自動車メーカーのフォードが手掛けるシェアサービスが目立ってきている。それもバスや自転車という、同社にとっては新しい分野でだ。
青く塗られたミニバンを活用した「チャリオット」は、通勤用を狙った乗り合いサービス。本来はスタートアップ企業が2014年から運行していたが、その企業を16年にフォードが買収した。現在はサンフランシスコの他、ニューヨークやシアトルなど数都市で展開している。従来のような固定の「バス停」はなく、利用者はアプリ上の路線図の停車スポットから乗車場所を指定して、路上で待つというもの。固定ルート上を通勤時間帯に合わせて数分から十数分ごとに走行する。降りる場所も指定できる。
サンフランシスコは、公共交通機関が十分でなく、ウーバーなどのサービスは料金が比較的高い。その点、チャリオットにはパスや都度払いといった多くの支払い方法があり、値段は1回当たり5ドル前後。通常のバスよりはやや高いが、格段に便利だという。
電動アシスト自転車のサービスも
自転車では13年8月から「フォード・ゴーバイク」というブランド名で提供。サンフランシスコやバークレー、サンノゼなどの都市の要所に既に260カ所を超えるステーションを設けている。借りたいときは「空き自転車」の有無をアプリで確認でき、行き先に近いステーションで乗り捨てられる仕組み。18年4月末には、電動アシスト自転車のシェアサービス「フォード・ゴーバイク・プラス」をサンフランシスコで開始して、250台を投入した。ゴーバイクのアプリ上には、空いている電動アシスト自転車の有無も表示される。坂道の多い街だけに、歓迎されそうだ。
現在、都市部におけるモビリティー(移動手段)はホットな話題になっている。自動車を持たない若い世代によって、公共交通機関が見直され、シェアライドといったサービスが改めて注目され始めた。乗り合いバスや自転車による都市での「ラストワンマイル」を制しようとする企業が今後、さらに出てくるだろう。