「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)」でソニーは、「WOWスタジオ」と銘打ち、テクノロジーを駆使した体験型展示を行った。同社は製品開発やブランディングの面で数年来、実施してきた構造改革によって、新しいものを生み出そうとする社内のモチベーションを高めている。その披露の場がSXSWなのだ。
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ソニーは「WOWスタジオ」と銘打ち、テクノロジーを利用した10件の展示を行った。すべてが体験型になっており、テーマパークのように楽しめる。例えば、高速ビジョンセンサーやハプティクス(触覚フィードバック)技術を活用したバーチャル画像とリアル感覚が合体するテーブルホッケーがあった。さらにヘッドマウント・プロジェクターによるプロジェクション・マッピング技術を使い、ユーザーの身体と連動して動物や昆虫の知覚世界を追体験できる展示も目を引いた、576個のスピーカーを制御する波面合成技術によって立体的な音響と、まるでその音が見えるように連動する幻想的な映像を体験できる回廊空間などは、ソニーの技術力の高さとそれをエンターテインメント体験として具現化する実力を感じさせた。
ソニーのブランド戦略部統括部長の森繁樹氏は、「チャレンジする社員の研究成果を見て、ソニーの今を感じてもらいたい」と語る。


SXSW出展の背後には、社内の製品開発やブランディングの面で数年来、行ってきた構造改革がある。外部のアーティストやクリエイターと協働するオープンイノベーション方式を採用している他、開発が見えるようになった段階から社内で関係者のビデオを撮るなどしてストーリーをつくっていく。これが新しいものを生み出そうとする、社内のモチベーションを高めることにつながった。

メルセデス・ベンツがスポンサーに
海外企業の展示も、それぞれにユニークだった。今年のSXSWのスポンサー企業の1つとなった独メルセデス・ベンツは各所に展示ブースを設けていた。市内の公園のテント会場では、自走車技術をはじめとした未来のモビリティー技術を展示したほか、同社は別会場でメインセッションも行っており、それをここで飲食を楽しみながらストリーミングで見られるようにもなっていた。
毎年、SXSWでのトレンド予測セッションで定評のある米アクセンチュア・インタラクティブは、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)を利用したサービスの実例をデモしたり、ホログラムでゲームができる仕組みを見せたりするなど、先端技術を集めて来場者が身近に理解できるようにする「場」をつくっていたのが印象的だ。
シリコンバレーのIT企業の展示も見られた。米グーグルは、電話をかける、絵画について質問するなど、グーグルホームの各機能を公衆電話ブースの中で一つひとつ体験できるようにしていたほか、家中にグーグル・アシスタントが配置されるとどんなことができるかを見せる「ファン・ハウス」を運営していた。ここでは、音声でロボットアームがタンスの中のソックスを並べ替えるような、不思議な光景のデモがあった。





