2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュ出身の経済学者ムハマド・ユヌス氏と吉本興業……。こんな意外な組み合わせで進めようとしているのは「ソーシャルビジネス」の日本社会への定着だという。

06年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュ出身の経済学者ムハマド・ユヌス氏
06年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュ出身の経済学者ムハマド・ユヌス氏

 ソーシャルビジネスとは、貧困や環境破壊など、さまざまな社会問題の解決に企業のビジネス活動を通じて取り組むこと。ユヌス氏は国連や大学、多国籍企業などとパートナーシップを組み、世界中でソーシャルビジネスを実践している、この分野における世界的なリーダーの一人だ。ユニクロが10年から展開しているソーシャルビジネス「グラミンユニクロ」もユヌス氏が設立したNPOと連携している。

 吉本もユヌス氏と連携。同社が得意とするエンターテインメントの力で社会的な課題解決を進めようとしている。その主体として、2月1日、ユヌス・よしもとソーシャルアクション(yySA)という100%子会社を設立。3月28日には、同社が社会的な課題の発掘・共有の場と位置づける「ユヌス家族会議」というカンファレンスを開催した。

人気漫才コンビの銀シャリが登場
人気漫才コンビの銀シャリが登場
タレントのゆりやんレトリィバァも登場し、ユヌス氏と握手
タレントのゆりやんレトリィバァも登場し、ユヌス氏と握手

 司会をタレントの山口智充さんが務め、オープニングにミニ新喜劇が行われるというにぎやかな一幕もあったが、メインは、銀シャリやゆりやんレトリィバァなど、人気芸人による社会課題のプレゼンテーション。そのプレゼンテーションに対し、「住みます芸人」という47都道府県に分かれて移住・活動している吉本所属タレントが、各地元の具体的な課題についてコメント。それに対して、さらに会議に参加した30社以上のスタートアップ企業が、解決に向けたアイデアを出し、議論するという立て付けだった。

吉本が一丸となって取り組む

 例えば、シャッター通り、つまり地方の商店街が寂れている問題の解決策として、参加した企業から「サバイバルゲーム(サバゲー)の開催場所として(地方の商店街を)使ってはどうか」という提案がなされたという。

 「サバゲーに使う銃は赤外線銃で安全性も高く、建物を傷つけることもない。シャッター通りになっている商店街はサバゲーファンの間では格好のロケーションとして知られる。エンターテインメントとしてだけではなく、健康増進にもつながる。(これ以外にも)会議では、さまざまな面白い案が提案された」。yySA社長の小林ゆか氏はそう話す。

 具体的な事業プランについては、「立ち上がったばかりなので、これから(検討していく)。だが、ソーシャルビジネスには吉本全社が一丸となって取り組んでいく」と言う。

 「笑いに勝る良薬なし」というが、本当に笑いの力でソーシャルビジネスを日本に定着させられるのか。今後の持続的な展開に期待したい。