中国のEC最大手であるアリババ集団(アリババグループ)が、中国の消費者の日本商品に対するニーズの増加に応えるため、日本からの商品の輸入・買い付けにこれまで以上に力を入れる。2018年3月下旬、そのための専門組織「グレート・インポート・センター(Great Import Center:輸入センター)」を設立した。

これまでアリババ集団は、出店先から消費者が商品を買うBtoCのECサイト「天猫(Tモール)」の一部門である越境ECサイト「天猫国際(Tモール・グローバル)」を主に通して、日本の商品を中国の消費者向けに販売してきた。
日本の大企業や中堅企業には、Tモール・グローバルに自ら出店し、中国市場向けにマーケティングを展開するよう促す一方、2年前からは、アリババ集団自らが日本の中小・零細企業から直接、商品を買い付けて輸入し、Tモール・グローバル上で販売する取り組みを進めてきた。日本の中小・零細企業の多くは、中国市場で確実に売れると予測できる商品を製造していても、大企業と異なり、Tモール・グローバルへ出店するだけの余裕がなかったためだ。

今回、設立したグレート・インポート・センターの役割は、アリババ集団が日本の中小・零細企業から輸入・買い付けした商品を、Tモール・グローバルだけでなく、アリババ集団傘下の他のチャネルでも幅広く販売することにある。
具体的には、消費者同士が商品を売買するCtoCのECモール「淘宝網(タオバオ)」や、オンラインとオフラインを融合した「新小売」というコンセプトを掲げて最近、急速に数を増やしているアリババ集団傘下のリアル店舗、例えば生鮮食品中心のスーパーでO2O(オンラインtoオフライン)店舗でもある「盒馬鮮生(Hema Xiansheng:ファーマーションシェン)」などで販売していく。
日本の中小・零細企業にとっては販路が広がって輸出しやすくなり、中国の消費者にとっては日本の商品を購入できる機会が増え、アリババ集団にとっては傘下のECサイトやリアル店舗の品ぞろえの強化につながるというわけだ。
2017年に日本が輸入先ランキング1位に
さらに、グレート・インポート・センターを介した取引を続けた結果、自社の商品を継続的に中国市場で販売できると判断した日本の中小・零細企業は、センターとの取引を停止して自らECサイトへ出店することも選べるという。「日本企業のビジネスモデルを柔軟に切り替えられるようにしたのが、他の越境ECと異なるTモール・グローバルの特徴」と、アリババ集団天猫輸入&輸出事業部のアジア市場責任者である赵戈(ヂァォ・グー)氏は語る。
背景には、中国の消費者の日本商品に対するニーズの高まりがある。Tモール・グローバル上で輸入・販売する海外製品の原産地国ランキングは、2016年には1位米国、2位日本、3位韓国だった。それが、2016年の「独身の日」(11月11日)のセール期間中のランキングで日本が米国を抜いて1位となり、2017年通年でも日本が1位になったのだ。センターの設立によって、消費者からのニーズの高い日本の商品の輸入・買い付けを増やし、Tモール・グローバルのアクティブユーザー数を、2018年4月の約6000万人から、今後できるだけ早く1億人に増やすことを目指す。