長くつづくブランドには、必ずその理由がある。
長く愛されるデザインにも、愛されるための仕掛けがある。
日本各地で地域の人々から愛されるデザイン・ブランドの誕生から今までを追い、ブランドが「つづく」仕掛けをどう作っているのか。
その秘密を探る。

1998年に発売した「SBGR001」の基本デザインを受け継ぐ「SBGR251」。グランドセイコーが独立する前のモデル「SBGR051」は、2010年にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞した。
1998年に発売した「SBGR001」の基本デザインを受け継ぐ「SBGR251」。グランドセイコーが独立する前のモデル「SBGR051」は、2010年にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞した。

ナガオカケンメイの目

誰もが持つ「時」を商品とするために日本の、世界の「精神」を意識する

 「幸せはモノでは買えない」と言われる時代になってきています。高度経済成長時、私たちは大量にモノを作り、買い、捨ててきました。「使い捨て」なんて言葉も生んで……。しかし、ここでしっかりと、暗闇に目を凝らして見るように、「幸せを感じさせてくれるモノ」が本当にないのか、あるのかを確認しなくてはなりません。明日の日本のためにです。

 これまで多くのロングセラーを取材してきました。そこには温かい気持ちになるものづくりや、販売のやり方、お客様への接し方がありました。そして、今回の主役、グランドセイコーを取材して、重要な視点をまた一つ学びました。それが「精神」です。セイコーウオッチは2017年、それまで一つのブランドの中にいた「グランドセイコー」を別ブランド化しました。さまざまなお客様のニーズに正確な「時」を届けていく方向とは別に、自分たちらしさを徹底的に追求するためにです。乱暴な言い方ですが、究極の時計を作るために、お客様のことはいったん忘れる。僕にはそう感じられました。

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