ブランディングプランナーの細谷正人氏が新たな視点でブランディングデザインに切り込み、先進企業に取材する連載「C2C時代のブランディングデザイン」。前回に引き続き良品計画の自動運転バス「GACHA」を取り上げます。今回は解説編の後編。

前回(第27回 無印の自動運転バスは、なぜ車メーカーのデザインと異なるのか)はこちら

GACHAの内部は一般的な座席の機能だけではなく、移動する店舗や図書館も想定してデザインしている
GACHAの内部は一般的な座席の機能だけではなく、移動する店舗や図書館も想定してデザインしている

 1980年にスタートした無印良品には基本的なものづくりへの姿勢として、(1)素材を見直し適材適所に、(2)製造工程を見極めて無駄を省く、(3)包材を簡略化する、の3つがあります。これらは創業40周年を迎えた今でも大切なプリンシプルになっています。

 しかし、ものを売るだけで「感じ良いくらし」を伝えることは難しくなり、生活者に無印良品の思想が伝わりづらくなってきたといいます。実際、国内で言えば現在約490カ所の店舗のほとんどが都市やその近郊にあり、過疎地には展開していません。

 地域のそれぞれの課題に対し、無印良品は地道なアプローチで社会貢献活動を行っています。具体的には千葉県鴨川市の棚田再生支援や南房総市の白浜での廃校の活用、シャッター商店街に見られる地域の中心部の活性化などです。その延長として2018年2月にソーシャルグッド事業部を発足させており、「感じ良いくらし」の“グランドデザイン”を描くという発想に結び付いていきます。

 「地方創生の手法として、市街地のスケールを小さく保ち、歩いて行ける範囲を生活圏と捉えたコンパクトシティーという発想があります。しかし既存の市街地は1つずつ結んでいく必要がありますから、公共交通機関は必要不可欠な存在です」(良品計画ソーシャルグッド事業部の斎藤勇一さん)。まさにGACHA(ガチャ)は課題解決のピースにはまり、無印良品のグランドデザインを完成させる必要なツールだったのです。

2018年4月にオープンした千葉県鴨川市の総合交流ターミナル「里のMUJI みんなみの里」。良品計画が指定管理者として運営しており、地域の農産物や物産の販売に加えて無印良品の店舗および飲食業態「Café&Meal MUJI」などがある
2018年4月にオープンした千葉県鴨川市の総合交流ターミナル「里のMUJI みんなみの里」。良品計画が指定管理者として運営しており、地域の農産物や物産の販売に加えて無印良品の店舗および飲食業態「Café&Meal MUJI」などがある
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