ブランディングプランナーの細谷正人氏が新たな視点でブランディングデザインに切り込み、先進企業に取材する連載「C2C時代のブランディングデザイン」。前回に引き続き良品計画の自動運転バス「GACHA」を取り上げます。今回は解説編の前編。

GACHAの外観は自動車メーカーのデザインと全く異なる
GACHAの外観は自動車メーカーのデザインと全く異なる

前回(第26回 無印良品が自動運転バス「GACHA」でデザインする世界戦略)はこちら

 「無印良品」を手掛ける良品計画が、自動運転バスの「GACHA(ガチャ)」をフィンランドでデザインしました。無印良品と聞いて、自動車メーカーのデザインとは違う期待がありました。日本ではなくフィンランドだったことは、無印良品が新たなステージを展開し始めたように感じさせます。

 なぜ自動運転バスなのか。前回掲載したインタビューに臨む前、私は自分なりの仮説を持っていました。無印良品は自動運転バスを地域の「場」として捉え、そこに人と人、もしくは人と社会の“間合い”のようなものを想定して独自に整理したからこそ、誰にもまねできない自動運転バスが生まれたのではないかと。そしてインタビューでは、独自の視点やものづくり・街づくりについて、同社の生活雑貨部企画デザイン担当の矢野直子さんとソーシャルグッド事業部の斎藤勇一さんにお話を伺いました。

 初めに浮かんだ疑問は、なぜ無印良品はモビリティ分野、しかも自動運転バスにデザインを提供したのかという点です。インタビューの結果、その理由は主に4つあることが分かりました。

  • (1)共同開発を行ったフィンランド企業のSensible 4が、バスの自動運転化を前提にしていたこと。
  • (2)Sensible 4は既に北極圏で自動運転バスの実証実験を進めており、寒い冬にも耐える強固なシステムを開発していたこと。
  • (3)フィンランドは過疎の問題が存在する一方、大手IT企業があり技術やインフラが発達するなど日本と状況が似ていること。
  • (4)日本だけではなく世界中で地域インフラの交通手段が次々と廃止され、今後はさらに悪化しそうなこと。

 これらの条件や現状から無印良品は、自動運転バスが日本だけでなく海外でも地域社会に役立つ移動手段になると判断しました。地域活性化に向けたリアルなツールとして、自動運転バスが必要だったのです。そして過疎化の問題や地方創生の在り方について無印良品が高い意識を持っていたことで、Sensible 4とのコラボレーションを迅速に決定できました。

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