ブランディングプランナーの細谷正人氏が新たな視点でブランディングデザインに切り込み、先進企業に取材する連載「C2C時代のブランディングデザイン」。前回に引き続き「Ginza Sony Park」を取り上げます。今回は解説編の前編。
1972年に出版された奥野健男著『文学における原風景』(集英社)をご存じでしょうか。永野大輔ソニー企業社長のインタビュー後に私が思い出したのがこの本でした。建築界の中でも名著とされる一冊で、奥野の言う「原風景」とは「原っぱ」のことです。この長編評論では、東京・山の手の都会育ちである奥野自身の原風景(自己形成空間)として子供の頃を振り返ってみると、“原っぱ”と“隅っこ”の2つが浮かび上がってくるといいます。
“原っぱ”と“隅っこ”によって、タイムトンネルのように狩猟採集の縄文時代に遡ったり、近未来の都市にイメージを広げたりしながら、日本文化と文芸の本質を探っている内容です。奥野は作家固有の自己形成空間としての原風景に触れていて、このような文学の母胎でもある原風景は、その作家の幼少年期と思春期とに形成されるといいます。
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