ブランディングプランナーの細谷正人氏が新たな視点でブランディングデザインに斬り込み、先進企業に取材する連載「C2C時代のブランディングデザイン」。これから2回にわたってJINS(ジンズ)を取り上げます。今回は田中仁CEO(最高経営責任者)へのインタビュー編。

JINS(ジンズ)の田中仁CEO (写真/丸毛 透)
JINS(ジンズ)の田中仁CEO (写真/丸毛 透)
田中 仁(たなか・ひとし)氏
代表取締役CEO
1988年7月に有限会社ジェイアイエヌを設立。2001年アイウエア事業「JINS」(ジンズ)を開始。17年4月ジンズへ社名変更

細谷:JINS(ジンズ)は、眼鏡を低価格にすることで、気分やファッションに合わせて換えることや、ブルーライトから目を守る「JINS SCREEN」をはじめとする機能性アイウエアなど、眼鏡の新しい在り方を提案してきました。さらに「JINS Design Project」として著名なデザイナーと協業した商品を開発する他、センサーを組み込みアプリと連動させることで日々の活動を計測できるようにした「JINS MEME」(ジンズ・ミーム)と呼ぶウエアラブルデバイスや、世界一集中できる場を目指した会員制ワークスペース「Think Lab」(シンク・ラボ)も手掛けています。今までにない試みを次々と打ち出す狙いはどこにあるのでしょうか。

田中:当社では「Magnify Life」(magnifyは拡大するという意味)というビジョンを掲げています。商品を通じてすべての人がより豊かで、より広がりのある人生を送れるように、日々の企業活動に尽力しています。デザインに注力しているのも、そのためです。今までよりも良い世界をつくるにはどうすべきか、いかに当社のビジョンを具現化したらいいかを考えたとき、デザインの役割がすごく重要になると思うのです。デザインって単に商品の外観を良くするということ以上に、深くて大きい存在だと感じています。

 例えば眼鏡のフレームだけでも1ミリ単位でデザインが変わります。JINS Design Projectで協業したジャスパー・モリソンさん、コンスタンティン・グルチッチさん、ミケーレ・デ・ルッキさんなど世界の一流デザイナーたちのデザインは本当にクオリティーが高い。なぜなら人間の本質をしっかり捉えているからなのでしょう。ただ「かっこいいデザイン」をするということではなく、眼鏡の成り立ちという源流まで遡り、そこに意味を見いだしています。単純にプロダクトの形ではなく、人間の暮らし方までもデザインすることにつながっているのでしょうね。

細谷:デザイナーたちが人間の本質を捉えて、眼鏡の意味性からミリ単位の製品細部まで、“見る”ことの価値を高めようとしています。まさに眼鏡を通じて、お客さまの“生活を拡大する”ということですね。

田中:当社は今、いろいろな方向に広がっています。まだ、ばらばらのように見えるかもしれませんが、それらを全部つなぎ合わせた世界をつくりたいと思っています。JINS MEMEは先端テクノロジーの塊ですし、「バイオレット+(プラス)」という紫外線を選択透過するレンズも提供しています。医療機関との協業、さらには次世代店舗の在り方など、いろいろなことを考えています。

 皆さんからは、一見つながりがないように思えるかもしれませんが、すべてがMagnify Lifeにつながっているのです。最終的にはジンズのサービスとしてつながり、お客さまによりよい体験をもたらすことになる。そうなったときにジンズは初めて、今までのような単なる眼鏡チェーンではなく、オリジナリティーのある唯一無二のブランドになるのではと思っています。商品の開発だけではなく、サービスや体験の提供もありますし、ビッグデータの活用にも注力しています。それらを次第に一体化することで新しい事業展開ができると考えています。

「JINS Design Project)では、ジャスパー・モリソンやコンスタンティン・グルチッチの他、18年11月には建築家のミケーレ・デ・ルッキと協業した眼鏡を発売した(上はイメージ画像で下は商品写真)
「JINS Design Project)では、ジャスパー・モリソンやコンスタンティン・グルチッチの他、18年11月には建築家のミケーレ・デ・ルッキと協業した眼鏡を発売した(上はイメージ画像で下は商品写真)