多くのプロジェクトを手掛けてきたブランディング・プランナーの細谷正人氏(バニスター代表取締役)が新たな視点でブランディングデザインに切り込み、先進企業に取材する連載「C2C時代のブランディングデザイン」。第3回は、細谷氏が考えるブランディングデザインの在り方の後編です。

前回の中編では、ブランディングデザインの3つの課題について説明しました。ブランディングデザインにおける“デザイン”の役割が変化している以上、もはやロゴやCMなどの限定的な活動ではありません。かつて、創造性について米アップルのスティーブ・ジョブズがこんな言葉を述べていたといいます。「創造性とは結びつけることだ。クリエイティブな人々は多くの経験をしているか、もしくは自分の経験から多くのことを考えているからできる」。この発言からジョブズは、自らの個人的な経験や記憶から創造し、結びつけていくべきだと考えていることが分かります。思考の原点は「自分が顧客だったらどうするのか」という考え方で、自分自身を「尺度」としているのです。
一方、米IDEOの創設者でもあるデビッド・ケリーは「ユーザーの振る舞いを観察することによって、私たちはより良いショッピングカートをデザインする方法を学ぶ」と述べています。自らの経験から始めるのではなく、ユーザーの観察から新しい発想は生まれると考えています。思考の原点は「顧客の行動や気持ち」であり、ケリーはジョブズとは真逆の尺度を重視しているのです。
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