多くのプロジェクトを手掛けてきたブランディング・プランナーの細谷正人氏(バニスター代表取締役)が新たな視点でブランディングデザインに切り込み、先進企業に取材する連載「C2C時代のブランディングデザイン」。第2回は、細谷氏が考えるブランディングデザインの在り方の中編です。

「これからのブランド戦略には、ヒューマンスケール性(人間的尺度)が必要不可欠」と語る細谷正人氏
「これからのブランド戦略には、ヒューマンスケール性(人間的尺度)が必要不可欠」と語る細谷正人氏

 前編では、ブランディングデザインの第1の課題として、“デザイン”の意味の変化について説明しました。“デザイン”の意味が変化している以上、ブランディングデザインの定義も曖昧化しています。

課題2:STPの複雑化

 そもそもブランディングデザインは顧客視点のデザインであるべきです。顧客視点のデザインを具現化するには、市場の細分化(セグメント:S)をして、ターゲットを明確(ターゲティング:T)にし、競争優位性のある立ち位置(ポジショニング:P)を設定する必要があります。これら3つの要素であるSTPこそがデザインの要になります。

 しかし、市場が複雑化し、もはやどこからどこまでが競合なのか、その範囲すら見えにくい時代でもあります。また、顧客が求める情報が過多になればなるほど、ブランドへの愛着(ロイヤルティー)を維持し続けてもらうことは難しくなります。愛着(ロイヤルティー)を刺激するために短期的なキャンペーンを乱発することも、ブランディングデザインの本質ではありません。

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