2023年4月4日発売の「日経トレンディ2023年5月号」 ▼Amazonで購入する では、「うまい魚 最新案内」を特集。様々な問題を抱える国内の水産業。新たな魚食ファンを獲得するため、ライバルであり同志の若手が立ち上がった。定期的に家庭に届くサブスク型のECサービスを開始したり、YouTubeやInstagramでファンを開拓したり。今後の活動を含め、水産業の現状と未来を語り合った。

※日経トレンディ2023年5月号より。詳しくは本誌参照

ダミーダミー
ライバルであり同志の若手が水産業の現状と未来を語り合った

 魚食離れや漁師の高齢化、漁獲高の減少など、国内の水産業は様々な問題を抱える。そんな課題山積の水産業をアップデートするために立ち上がったのが、規格外のため一般市場に出回らない未利用魚をサブスクで販売するベンナーズ(福岡市)代表取締役の井口剛志氏と、名古屋で40年以上続く鮮魚の卸売りを営む寿商店常務取締役の森朝奈氏の2人だ。ライバルであり同志の若手が水産業の現状と未来を語り合った。

――まず、水産業に携わった経緯は。

ベンナーズ:井口氏(以下、井口) 実家が水産業を営んでいましたが、もともと自身が携わるという気持ちはなくて。ただ、大学で社会起業学を専攻する中、プラットフォーム型のビジネスモデルを学びました。この知識を生かして、社会の課題を解決するにはどの業界で起業するのがいいかと模索した結果、目に留まったのが水産業でした。

寿商店:森氏(以下、森) 私は、魚屋を営む「寿商店」の後継者が子供の頃からの目標。大学卒業後、楽天グループに入社したのも、ECのノウハウを吸収し、家業で生かすためでした。

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――携わって分かった水産業の課題は。

井口 我々のような水産加工メーカーは全国にありますが、現場で痛感したのが、多重請負構造の弊害です。一般的に、魚は生産者から多くの卸売業者を介し、やっと小売店や飲食店に供給されます。生産者はそれぞれ、「マダイの加工が得意」「サーモンを切る速度は最速」など技術は高いのですが、売る方法のノウハウを持っておらず、もうけが出にくい構造になっています。

 同感です。有効な解決策として、自社でYouTubeやInstagram、Twitterなどを活用し、宣伝しながらECで直販するという方法がありますが、こうした仕組みを構築し、運営するのにはノウハウが必要で、ハードルはなかなか高いのが実情です。

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