
トップマーケターやクリエーター、ヒットメーカーは、必ずしも最初から優秀だったわけではない。センスを磨き上げ、世の中に「解」を提供してきた。では、センスはどのようにして高めればいいのか――。特集の第6回は、マーケティングや企画づくりのセンスを磨く方法について、元電通で現在はファンベースカンパニー会長の佐藤尚之(さとなお)氏に聞いた。
・「古典」を「ジャッジ」しながら読んでチューニング
・複数のカードを置いた「知識のデッキ」をつくる
あの人はセンスがいい。あの企画はセンスがある――。クリエーターのみならず、企画を立てるマーケターでも「センスが良い人」になりたいと考える人は少なくないだろう。
一方で、「センス」とは先天的なものであり、天才的な思考によるものだと考えてどこか距離を置いている人はいないだろうか。ファンベースカンパニー会長の佐藤尚之(さとなお)氏は、「センスは努力で磨ける」と言い切る。
さとなお氏は、電通でコピーライターやCMプランナーなどを通じ、企業のコミュニケーション全体を設計する仕事に従事。多数の広告賞などを受賞してきた。現在は、ファンベースカンパニーを創業し、ファンを大切にしファンをベースにして中長期的な売り上げや価値を上げていくファンベースを提唱している。本業以外にも、「note」などで情報を発信したり、広告やコミュニケーションを共有する「さとなおオープンラボ」や50代・60代が集うコミュニティー「Good Elders」を主宰したりするなど、多数の企画を生み出し続けている。
そんな斬新な企画を多数生んできたさとなお氏も、地道にセンスを磨いてきたという。それだけではない。「吉本興業NSCの伝説の講師と呼ばれる本多正識さんが書いた『1秒で答えをつくる力』(ダイヤモンド社)にもあるが、テレビなどで見る頭の回転が速く、言葉のチョイスにもセンスがあるお笑い芸人ですら、最初は全く言葉が出てこないのが当たり前で、ほぼ全員が努力をしてセンスを身に付けてきたという。電通時代に会った優れたクリエーターやマーケターも、初めからセンスがいいわけではなく、努力を続けていた」とさとなお氏は話す。
「センス」には2つの種類がある
センスを磨くと一言で言っても、注意すべきことがあるとさとなお氏は話す。それは、「センスは2つに分けて考えたほうがいい」(さとなお氏)ということだ。
1つはアーティスト的なセンス。もう1つはビジネスにおけるセンス。「多くの人はセンスと言うと前者を思い浮かべるが、企画などを考えるために必要なセンスは後者に当たる。また、アーティスト的なセンスとは、自分を突き詰めて発露させるもので、自分の中にある『自分解』を磨いて突き抜けていくもの。一方のビジネス的なセンスは、自分の持っているものだけでなく、時代や顧客を含めて『最適解』を見つけていく力のこと」(さとなお氏)という。
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