
生活者のインサイトをどう見つけるか――。インサイト探しは、マーケターにとって最も重要なスキルの1つ。博報堂執行役員・エグゼクティブクリエイティブディレクターで博報堂ケトル(東京・港)取締役・編集者の嶋浩一郎氏は、インサイト探しのコツは、「微細な変化に気付けるようになること」だという。実は、この変化に気付くためのトレーニングは、誰でも普段の生活からできる。嶋氏が実践する、生活者インサイトを探るためのトレーニング方法を紹介しよう。
- 街中で見かけた「変なことをしている人」をメモする
- 「変なこと」=違和感の正体はどこにあるのか、抽象化(言語化)する
- ヒット商品の「ヒットの要因」は何か、時流に合わせて考察する(抽象化する)
嶋氏には、習慣がある。街中で見かけた、「変なことをしている人」をメモするのだ。例えば、「電車の中で靴を脱いでいるビジネスパーソン」。嶋氏は直近1年間で、同様の行動をしている人を2人見かけたという。嶋氏はそこで、「変な人がいた」では片づけない。常にその行動を「欲望」と結び付けて考える。
「これはどのような欲望の発露なのか」――。欲望とはすなわち、新たなヒットを生み出すインサイトとも言える。「マーケターはまだ表に出ていない欲望を相手にする仕事」(嶋氏)。だからこそマーケターは注意深く観察し、そこにどのようなヒントが隠れているかを探り当てる必要がある。
嶋氏が日々書きためているメモは、アイデアの源泉だ。嶋氏が実践しているインサイトの発見法は、新人でもすぐにまねできる。ぜひ最後まで読んで、今日から取り組んでみてほしい。
博報堂 執行役員/博報堂ケトル 取締役 クリエイティブディレクター 編集者
「最近抱いた違和感」を書き出してみる
嶋氏流のインサイト発見法は、大きく分けて2つある。1つ目は、世の中でヒットしている商品があれば、「なぜ今この商品はヒットしたのか」、つまり時流に合わせて「ヒットの要因」を分解し、考えること。ヒットから逆算してインサイトを探り当てる手法とも言える。もう1つは、街中で見かけた「変(不思議)な行動をしている人」をメモし、「変」の正体を突き止めるために抽象化(言語化)することだ。
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