2023年3月3日発売の「日経トレンディ2023年4月号」 ▼Amazonで購入する では、「資格・転職・副業の新しい地図」を特集。テレビ東京アナウンサーの相内優香氏は、看板番組で活躍しながら、MBAを取得した。朝の番組と夜の大学院の両立は、ハードなチャレンジ。時間がない中、耳をフル活用した、“ながら”で情報収集していったという。「勉強に終わりはなく、可能性を広げるのも縮めるのも自分次第」。相内氏はそう語った。
※日経トレンディ2023年4月号より。詳しくは本誌参照
テレビ東京 アナウンサー
テレビ東京アナウンサーの相内優香氏は、生放送のニュースキャスターをしながら、早稲田大学大学院を修了し、MBAを取得した。
――アナウンサーとして看板番組で活躍しながら、MBA取得を目指したのはなぜですか?
「ワールドビジネスサテライト(以下、WBS)」を担当してちょうど10年になる頃、漠然とこのままでいいのかなという焦燥感がありました。日々のニュースを現場で取材し、オンエアをして終わっていく。現場で得た知識は、自分の中にちゃんと蓄積されているのだろうかと。
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そんなさなかに、2019年にノーベル化学賞を受賞された吉野彰さんと池上彰さんの対談のナレーションを担当したのです。吉野さんが「35歳までに専門分野を見つける。それまでに力を蓄えることが重要なんだ」という話をされていて。当時、私は33歳。自分をもっと追い込んで勉強したいと思い、MBA取得を目指すことにしました。早稲田大学大学院を選んだのは、夜間に通えて仕事と両立でき、尊敬する入山章栄先生がいらしたからです。
――現役アナウンサーとMBAの両立はほぼ前例がないことです。挑戦を会社にはどう伝えたのですか?
「受験します」ということだけは周囲に伝え、合格してから、MBAを取得したい理由や経済キャスターとしての目標をA4用紙1枚に書いて上司に渡しました。MBAは転職や起業が前提ではないかと懸念を抱かれがちです。そこで、取得することで会社に貢献したいのだという思いをしたためました。その紙が奏効したのか、反対は全くなく皆が応援してくれました。
――大学院生活はハードでしたか?
覚悟はしていたのですが、年に3回ぐらいは鼻血を出したかもしれません(笑)。入学した20年は新型コロナの感染拡大で、ほとんどがオンライン授業になり、移動時間がないという点ではまだ助かっていました。2年目は、「Newsモーニングサテライト(以下、モーサテ)」のメインキャスターに就任して朝の番組と夜の大学院の並行が始まりました。週の前半は早朝番組で午前2時起き。後半は夜間の大学院で就寝は深夜1時過ぎ。週に1度は“24時間営業”になっていました。エクセルで簡単な表計算しかできなかったのに、クラスメートに教えてもらいながら統計解析ソフトで回帰分析をしたり、ゼミでは経営理論の英語の論文を毎週2本読み込み、20枚ほどのパワポにまとめたり。仕事も大学院の課題も、タスクごとに時間設定し、目の前のことに集中することで何とか乗り切っていました。ただ、修士論文を書いていた時期は忙し過ぎて、日々の記憶がないほどです。
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