2023年3月3日発売の「日経トレンディ2023年4月号」 ▼Amazonで購入する では、「資格・転職・副業の新しい地図」を特集。ジョブ型へと働き方が変わり、資格の重要性が増している一方で、資格取得によるキャリアアップの道はここでゴールではない。より安定した高年収につなげたいなら、ジャンルを超えた資格同士を組み合わせる“かけ算的”なアプローチがお薦め。オンリーワンの立ち位置を獲得することが重要だ。

※日経トレンディ2023年4月号より。詳しくは本誌参照

ダミーダミー
ジャンルを超えた資格同士を組み合わせる“かけ算的”なアプローチがお薦め

 新型コロナウイルス禍をきっかけに終身雇用制度の崩壊が加速――。メンバーシップ型から、個々のスキルや成果が問われるジョブ型へと働き方が変わり、資格の重要性が増している。自身も300を超える資格を持つ“資格ソムリエ”の林雄次氏は「成果主義が叫ばれる中、キャリアアップのため、スキルの見える化にもつながる資格に多くの人が注目している」と話す。

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 しかし、1000種類以上あるといわれる日本の資格・検定は玉石混交。何も考えずに学習へと足を踏み出すと、難関資格になかなか受からないなど、いたずらに時間を消費する“資格迷子”になりかねない。

 資格は、医療系などの専門的なものを除くと金融、経営・労務、法律、不動産、IT、会計の6つのジャンルに分類できる。何を目指すかを決め、段階的に取得していくと学習しやすい。

安定性や信頼性が高い国家資格業務や名称を独占できる資格も
資格は、主に「国家資格」「公的資格」「民間資格」の3つに分類されることが多い。中でも社会的信頼性や安定性が高いのはやはり国家資格。資格を持つことで業務を行うことができる「業務独占資格」や資格の呼称を使える「名称独占資格」などの強みを持つ資格があることも特徴といえる。民間資格が国家資格になることも
資格は、主に「国家資格」「公的資格」「民間資格」の3つに分類されることが多い。中でも社会的信頼性や安定性が高いのはやはり国家資格。資格を持つことで業務を行うことができる「業務独占資格」や資格の呼称を使える「名称独占資格」などの強みを持つ資格があることも特徴といえる。民間資格が国家資格になることも

 現在、何も持っていない人はどうすべきか。すべてのビジネスパーソンの“一丁目一番地”ともいえる資格がある。「ITパスポート」「3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)」「ビジネス実務法務検定3級」は、取得ハードルも高くないうえに汎用性が高い基礎の3資格として注目されている。

 最も人気なのが、DX化やAI技術の躍進で、多くの人にとって対応が急務になっている、ITパスポートだ。

 ITパスポートで身に付くのはデジタルの知識だけではない。「例えば会社の組織や粗利と営業利益といった話など、ビジネス全般を学習領域としているため、すべての社会人にお薦め。簿記的な要素も入っているので、手始めに何か資格を取るならITパスポートをまず候補に挙げたい」と林氏は話す。

最速でデジタル人材になる初心者はまずITパスポートを
人気が高まるIT系資格・試験のうち、初級レベルといえるのが「ITパスポート」や「情報セキュリティマネジメント」だ。ITに関する基礎を固めたり、情報セキュリティの目的・内容を理解することにつながる。それ以外は主にエンジニア向けで、求められる知識レベルや専門性はそれなりに高い
人気が高まるIT系資格・試験のうち、初級レベルといえるのが「ITパスポート」や「情報セキュリティマネジメント」だ。ITに関する基礎を固めたり、情報セキュリティの目的・内容を理解することにつながる。それ以外は主にエンジニア向けで、求められる知識レベルや専門性はそれなりに高い。画像はIPAのサイト

 FP資格はキャリアアップや業務に役立つだけでなく、人生の資金計画の知識も身に付くことから、景気の先行きが見えない中で人気が高まっている。一方、ビジネス実務法務検定では契約や権利関係などの法律実務全般に関する知識を学べる。

 基礎的なものを押さえたうえで、専門性を磨きたいなら、ジャンル別にエントリー資格から難度の高い資格にステップアップしていくのが資格取得の最短距離かつ王道だ。

 例えば会計では、「日商簿記3級」が一歩目の資格候補。「簿記2級は以前よりも難しくなっているため、まずは3級から狙っていくほうが学びやすい。2級を取得できれば資格として胸を張れる」(林氏)

 不動産では宅地建物取引士(宅建)が人気を誇るが、試験が難化する傾向にある。そこでエントリーとしてお薦めなのが「賃貸不動産経営管理士」だ。講習を1日受けると試験50問のうち5問が免除になるという“免除システム”もあり、まずは手始めに賃貸不動産経営管理士を取得し、その後に宅建を狙うといいだろう。

 どの資格を目指すかは人によるが、お薦めなのが40~50代でも目標にでき、キャリアアップや収入アップに直結する資格だ。資格の通信教育を展開するフォーサイトによると、多くの資格は現在のキャリアで役立つ「スキルアップ型」と開業に向く「独立型」、その両方の特徴を持った「ハイブリッド型」の3つに分けられるという。中でも特に人気なのがハイブリッド型の「中小企業診断士」と「社会保険労務士(社労士)」、独立型の「行政書士」だ。

 3つの資格の学習期間はどれも800~1000時間程度。「働きながら勉強ができる」「学習期間が比較的短め」「受験資格が厳しくない」という条件をそろえ、将来的な独立も視野に入る。

 では、この中で取り組みやすいものはどれか。林氏によれば学習時間が短く取得しやすいといえるのは行政書士。「独立せずに今のキャリアで続けていくのなら中小企業診断士、将来的に顧問業務を狙うなら社労士が向いている」という。

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