スタバ出店戦略の極意 第1回

全国で1792店舗を展開するスターバックス コーヒー ジャパン(2022年末時点)。出店場所は駅や空港、商業施設、公園など様々だが、必ずしも好立地だけでは選ばずに、地域貢献なども勘案した独自ルールで動いている。本特集では、近年オープンした店舗の紹介を交えながら、スターバックス独自の出店戦略や設計の極意を伝える。

店舗開発本部の植月誠本部長
店舗開発本部の植月誠本部長

 国内のカフェチェーンで最多の店舗数を展開するスターバックス。同社で店舗開発本部長を務める植月誠氏はこう語る。「数を出店することではなく、地域に持続可能なコミュニティーをつくることが目的。『出店しました、でもすみません、3年で閉店します』では単にご迷惑をかけるだけになるので、スターバックスではそうした出店はしない」

 地域に根付いた店舗づくりに関わるのは、店舗開発本部の140人だ。店舗開発部、店舗設計部、店舗建設部、ライセンス部、店舗開発戦略室の5つで構成されている。本特集では、店舗開発部及び店舗設計部の9人に取材した。

スターバックスの店舗数推移(1996~2014年は3月末時点。15~21年は9月末時点。22年は12月末時点の数字。スターバックスの資料から編集部で作成)
スターバックスの店舗数推移(1996~2014年は3月末時点。15~21年は9月末時点。22年は12月末時点の数字。スターバックスの資料から編集部で作成)

 スターバックスは1996年、東京・銀座に1号店「銀座松屋通り店」をオープンした。当初は、東京・大阪・名古屋など、都市部を中心に出店。その後、立地を郊外に広げ、ドライブスルーやショッピングセンターなどへの店舗拡大を進めている。鳥取県を最後に、47都道府県すべてを網羅したのは2015年だ。平井信治鳥取県知事が12年に、「スタバはないけど砂場(鳥取砂丘)はある」と自虐ネタを披露したのは有名な話だ。

 21年に「日本上陸25周年」を迎えたスターバックスは「年間100店の新規出店ペースを継続し、日本全国での店舗数は24年末までに2000店を目指す」と発表した。

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