PayPayマーケティング 第5回

大手広告代理店の博報堂DYメディアパートナーズはヤフーと共同で、コード決済「PayPay」の購買データを用いた販促キャンペーンを展開している。ヤフーと共同で独自の共同データ分析プロジェクト「Cocoon(コクーン)」を立ちあげ、PayPayの決済情報、ヤフーが持つさまざまなデータ、博報堂DYの持つデータを掛け合わせて、より精緻な顧客像の把握と、継続的な販促企画の考案を可能にしている。PayPayを活用したキャンペーン設計の新規性と利点を聞く。

博報堂DYメディアパートナーズ プラットフォーマー戦略局 大久保塁メディアプロデューサー
博報堂DYメディアパートナーズ プラットフォーマー戦略局 大久保塁メディアプロデューサー

 博報堂DYメディアパートナーズはヤフーと共同で、データを活用したメーカー向け販促施策を提供している。施策の肝となるデータは、PayPayの決済データにポータルサイト「Yahoo! JAPAN」の検索履歴や「Yahoo! ショッピング」の購買情報といったヤフーが持つデータを掛け合わせたもの。PayPayの購買データと、ヤフーが持つデータを掛け合わせることで、より精緻に顧客像を把握できる。

 PayPayとヤフーはどちらもZホールディングスの傘下企業。PayPayはヤフーのID「Yahoo! JAPAN ID」でも登録して利用が可能だ。Yahoo! JAPAN IDでPayPayに登録している利用者であれば、サービス間でデータを連係させることで、メーカーがヤフーに出稿した広告サービス経由でPayPayで決済した顧客層をより深く分析できる。

 例えば、ある商品をPayPay払いで買った生活者の検索履歴に、自炊レシピ関連のものが多ければ、その生活者は普段から自炊するのだと推測できる。さらにその人のYahoo! ショッピング履歴を見てアウトドア商品の購入が多いと分かると、休日にアウトドアを楽しんでいることが推測される。こういった具合に、1人の顧客像を複数データから深化させていくのだ。

 PayPayとヤフーを連携したキャンペーンの一例は、広告主の商品を特定の小売店で購入し、PayPayで支払うとPayPayポイントが取得できるというもの。通常はPayPayでの支払いでは購入した具体的な商品名や個数までは分析できないが、キャンペーン対象となる小売店の協力の下、POS(販売時点情報管理)データと連係することで分析を可能にする。

 キャンペーンで商品を購入した層を個人を特定しない形で抽出し、ヤフーのデータと合わせることで、対象者のライフスタイルや興味関心事項、どういった購買行動をとっているかなどを分析し、次のキャンペーンのプランニングに生かせる。

 「何を、どこで、何個買ったのかという購買データと、ヤフーの行動データを用いてなぜ買ってくれたのかまで考察することで、次の打ち手を考え、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回せる状態になる。これは、ヤフーとPayPayのアクチュアルデータがあるからこそ実現できる。PayPayを活用したキャンペーンを実施する広告主や支援会社にとって、非常に魅力的で、希有な特徴だ」と博報堂DYメディアパートナーズ プラットフォーマー戦略局の大久保塁メディアプロデューサーは語る。

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