マーケターのためのSXSWキーワード 第3回

カルチャーやテクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」では講演の他、スタートアップなどが製品やサービスを見せる展示スペースにも多くの人々が集まる。ZOZO米国法人がデモをしていた体の計測用スーツなど、ウェルビーイング(心身の健康や幸福)関連の展示に注目が集まっていた。

ZOZOアパレルUSAが98ドルで販売する全身採寸スーツ「ZOZOFIT(ゾゾフィット)」
ZOZOアパレルUSAが98ドルで販売する全身採寸スーツ「ZOZOFIT(ゾゾフィット)」

 「体の計測用スーツ、試してみませんか」。SXSWの会場周辺にある高級ホテルの前を歩いていると、米映画スタジオ「マーベル」の映画に出てくるヒーローのようなスーツを着た人に声をかけられた。カードを配り、興味を持つ人を中に招き入れている。中にはリビングルームのようなスペースや、InstagramなどSNS(交流サイト)用に動画を撮影できるブースがある。展示していたのは、ZOZOの米国法人、ZOZOアパレルUSAの3Dボディースキャンサービス「ZOZOFIT(ゾゾフィット)」だ。

 かつてZOZOが扱っていた水玉模様の採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を覚えている人も多いだろう。2017年に発表となり、日本だけでなく、米国を含む世界で無料配布をした。ゾゾスーツを着て、スマートフォンのカメラで360度撮影することで、体の各部のサイズを測定できる。購入者それぞれの体形に合ったPB(プライベートブランド)のEC(電子商取引)販売につなげる狙いがあったが、十分なビジネス上の成果が得るまでには至らなかった。ゾゾスーツは19年に配布を終了し、現在はサービスを停止している。

 事業は撤退となったものの、一部の利用者から継続を要望する声が寄せられた。「ダイエットのための計測で利用している。お金を払ってでもいいから閉じないでほしい」「フィットネスで使いたい」。米国のユーザーだった。米国では成人の40%が肥満といわれ、糖尿病の比率も高い。医療費も高いため、自分の健康は自分で守るという意識を持つ人は多い。

 ZOZOは20年に、マーカーの数を約50倍にして計測精度を高めた3D計測ボディースーツ「ZOZOSUIT 2(現在は再び名称をZOZOSUITに戻している)」を発表し、サービスパートナーを募集していた。この技術を応用し「もう1回リブートして、ニーズのある部分にフォーカスし、自分たちのビジネスをやろうと準備を進めた」とZOZOアパレルUSAの乾卯太弘CEO(最高経営責任者)は話す。新しい計測技術を活用した初のサービスとして22年8月、米国での販売を開始した。

まずはシンプルに98ドルの売り切り型

 値段は98ドル。スーツは12サイズを用意しており、購入時に身長や体重を指定すると体形に合わせたものが届く。スーツを身に着け、スマホをテーブルなどの上に立てる。専用アプリの音声の指示に従って、体幹を軸に回転させると2分ほどで計測は完了。上腕、胸、腹、太ももなど10カ所を測定できる。アプリ画面で各部のサイズを確認できる他、体脂肪率の推定値も表示できる。推移をグラフで表示する機能もある。

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