
カルチャーやテクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」が米テキサス州オースティンで2023年3月10日から開幕となった。Web3(3.0)やNFT(非代替性トークン)に注目が集まった前回とは打って変わり、今回はChatGPT(チャットGPT)など生成AI(人工知能)が話題の中心だった。マーケターが知っておくべき新トレンドを紹介する。
もともと音楽と映画のイベントとして始まったSXSWは、クリエイティブという軸で講演や展示の内容を拡大してきた。今では広告やマーケティング、新技術、スタートアップなどの新ビジネスの最新トレンドを見ることができるユニークなイベントとなっている。
オースティンはアートやライブ音楽の街として知られている。会場周辺の街を歩くと、参加企業が店や広場を貸し切って、特設のブースをつくっている。製品やサービスを展示しつつ、音楽や電飾でパーティーのような雰囲気をつくっているところが多い。夕方にもなるとカクテルを配布して来場者をもてなす。
街全体がそんなお祭り気分で盛り上がる一方、イベントの軸はメイン会場のオースティンコンベンションセンターや周辺ホテルで開催される講演となる。マーケティングやテクノロジー関連の講演に参加すると感じるのは、話題の中心が圧倒的に米オープンAIの「ChatGPT」をはじめ「生成AI」についてであることだ。

前回の2022年には、Web3やNFTあるいはメタバースの話題で大いに盛り上がった。今回は、Web3やNFTは存在感を失う一方で、その分がまるごと生成AIに入れ替わった印象だ。今後はマーケターをはじめ、あらゆるビジネスパーソンが当たり前のように生成AIを活用する時代へと移り変わると展望する講演が多かった。会期を通じて見えた、AI時代のマーケティング業務で重要となる「3つのキーワード」を紹介する。
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毎回SXSWで技術トレンドを解説する人気スピーカー、エイミー・ウェブ氏の講演もその中の1つ。「(ChatGPTのような)テキストでの利用はほんの始まりにすぎない。2~3年内に、あらゆる分野でAI活用が進む移行期にある」とウェブ氏は語る。そこで掲げたキーワードが「1、マルチモーダル(複数手段)」。映像、音、人々の行動など複数の手段であらゆるデータを集め、多彩なデジタル体験を利用者に提供する技術のことだ。そうした多彩な用途に使えるAIは、ジェネラリストAIとも呼ばれるという。
バラ色の楽観的な未来を示すだけで終わらず、懸念のポイントを隠さず示すのが同氏の講演の特徴である。「AIが広がり、しばらくの間は素晴らしいことだと思えるが、その後は問題を引き起こし始める。報道機関、マーケ担当者などネット内での発見に関わるすべての人に関係する」とウェブ氏は展望する。
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