
東京の西浅草に実店舗を構える、個人経営ののり専門店「ぬま田海苔(のり)」。同店が2019年3月に運用を開始したnoteは、4代目当主の沼田晶一朗氏が1人でネタ出しから執筆、更新まで行っている。そのため更新頻度は月に1回と決して多くはないが、noteの記事をきっかけに年間20本以上のメディア掲載を実現し、わずか1日で月間最高売り上げを更新するなどの成果につなげてきた。沼田氏は本業の傍ら、なぜ1人で「成果を生み出すnote」を継続できるのか? コツは、2つある。
東京・台東の合羽橋に店舗を構えるのり専門店「ぬま田海苔」。沼田氏の祖父が1937年に創業した、のりとかつお節を扱う「沼田治雄商店」から始まった。そこから85年。2023年3月現在は、実店舗とECサイトで「有明海産の初摘み海苔」を扱う専門店として、国内のみならず、海外にも多くのファンを抱える。店舗を切り盛りするのは、運営会社NUMATA HARUO SHOTEN(東京・台東)の取締役で、ぬま田海苔4代目当主の沼田晶一朗氏だ。
ぬま田海苔のnoteには商品の紹介はもちろん、店舗で働くスタッフ、店舗を構える合羽橋の魅力、ECサイトで売り上げを伸ばすためにお薦めのサービスなど、多種多様な「公式Webサイトや対面接客では伝えきれない、マニアックな話」(沼田氏)が掲載されている。
「Webサイトは世界観が大事。そうした世界観の中で、(のりを買い求めてくる人に必ずしもヒットしない)マニアックな文章を多く書いても情報過多でお客様には伝わらないどころか、むしろ邪魔になる。その点noteはそれらの話を残していく場として適していた」(沼田氏)
こうして自社商品の紹介にとどまらない幅広い記事をnoteで出し続けてきた結果は、メディアへの認知拡大という成果につながっている。21年は年間で24本ものメディア掲載を実現したのだ。単純計算で、月に2回は何かしらのメディアに出たことになる。ぬま田海苔には、専任の広報担当者はいない。それでも創業85年の老舗のり店に取材申し込みが絶えないのは、noteに書かれたさまざまな深い話がメディアへの「企画書代わり」(沼田氏)となっているからだ。
沼田氏は忙しい本業と並行しながら、どのようにnoteの運用を続けているのだろうか? ぬま田海苔の実践例から見えてきたのは、個人商店のnoteで継続的に成果を出す2つのコツだ。
自社商品から他店のおいしいのりまで、「ネタは幅広く」がモットー
1つ目のコツは、「ネタは幅広く」だ。個人商店に限らず、ブログなどの長文メディア経験のない担当者がnoteなどでオウンドメディアをスタートする際、「どんな記事を書いたらいいか」は悩むポイントだろう。しかも担当者が1人であるならばなおさらだ。
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