
noteをうまく活用しているのはキリンなどの大手ばかりではない。東京・武蔵小山にある、10席ほどしかない「おひとり様のためのカフェ」もその一つだ。サブスクリプションサービスをつくれるnoteの「メンバーシップ」機能を活用し、ファンと温かいコミュニティーを形成している。note活用に加え、コミュニティー運営の注意点やつながり方のコツを聞いた。
店主のひかる氏が一人で切り盛りする、東京・武蔵小山にあるおひとり様のための喫茶食堂「kenohi」。2019年4月にオープンしたこの店のメニューには、コーヒーや紅茶だけでなく、ノンカフェインのドリンク、カクテルなど豊富な種類の飲み物があり、しっかり食べられる定食、総菜の盛り合わせやトーストなどの軽食、日替わりのスイーツやケーキが並ぶ。利用客は、ドリンクを飲みながら本を読んだり、遅い朝食をのんびりと楽しんだり、仕事をしたりと、それぞれの過ごし方ができる、落ち着いた空間だ。
この僅か10席程度の小さな飲食店が、実はnoteで生活者とつながり、noteの有料サブスクリプションサービスをつくれる「メンバーシップ」で数十人の仲間を集めている。noteの投稿でkenohiを知ったのがきっかけで、同店のメンバーシップに加入し、実際に店を訪れて気に入って近所に引っ越してきた熱量の高い常連客もいるほどだ。なぜ同店はこれほど愛されるのか、コミュニティー運営のコツを聞きに行った。
コロナ禍がきっかけでnoteの「サークル」を開設
もともとお菓子作りや料理が好きだったひかる氏が、飲食店を開くことを意識したのは、大学時代のことだという。1日カフェを開いたり、カフェの雇われ店長も経験したりした。しかし、飲食業の経済的な厳しさ、体力的なハードさを知り、大学卒業後はITベンチャーへの就職を選択。3年間働いた後に、会社は自分の居場所ではないと判断し、退職して店を開くことを決意した。それが、日常のどんなシチュエーションでも一人で来店してゆっくりくつろげ、おなかがすいたら食事ができて、甘いものもあり、ノンカフェインも含めて飲み物もたくさんそろえている店という、今のコンセプトだった。
ひかる氏は、初めからコミュニティーづくりを意識していたわけではなかった。考えはじめたきっかけは、コロナ禍で苦境に立たされたことにある。
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