※日経エンタテインメント! 2023年2月号の記事を再構成
2023年、飛躍が期待されるアーティストは誰か? 今年の「新主役」を探す特集の音楽編、パート1はバンドとシンガーソングライターの注目株を取り上げる。
2022年末の『NHK紅白歌合戦』に初出場したSaucy Dogや、マカロニえんぴつなど、近年、若手バンドの台頭が目立つ。彼らに共通するのは、Z世代に刺さるラブソングを生んでいることだ。LINE MUSICのコンテンツプロデューサー・出羽香織氏も、「近年はバンド勢も、ロックっぽい曲より、柔らかいサウンドの曲のほうがチャート上位に入ってきている」という。
22年のドラマ『やんごとなき一族』の挿入歌『恋だろ』が若者たちの共感を集め、「令和のラブソング」と呼ばれるヒットになっているのが、5人組のwacci(ワッチ)。9月には「THE FIRST TAKE」で同曲を、ドラマに出演していた松下洸平と共に披露し、450万再生を突破。「LINE NEWS AWARDS 2022」のアーティスト部門も受賞した。
マルシィも、等身大のラブソングが若者に支持されている3人組。インディーズ時代からSNSで注目を集め、22年6月に1stアルバム『Memory』でメジャーデビュー。ストリーミングでヒット中の代表曲『絵空』をはじめ、ラブソングが詰まった1枚だ。
ねぐせ。は、“笑顔がモットー”の名古屋発の4人組。ハッピーなオーラ全開のサウンドを得意としている。21年10月に発表した『スーパー愛したい』がTikTokで話題となり注目度が上昇。22年7月リリースの『グッドな音楽を』もヒット中だ。
23年2月にシングル『らしく』でメジャーデビューを果たしたのが、ヤングスキニー。22年10月リリースの『本当はね、』、12月リリースの『好きじゃないよ』は共に、切ないラブソングに仕上がっている。
「SNSヒット」のシンガーソングライター
2021年の優里、22年のTani Yuukiと、TikTokをはじめとしたSNSのバイラルヒットから一躍人気者となるシンガーソングライターが増えている。23年も、世間を騒がす若手が多く生まれそうだ。
22年9月リリースの『Overdose』が、ストリーミングの累計再生数1億5000万回を突破する大ヒットになっているのが、なとり。21年5月に音楽活動を始めた19歳で、TikTokに数々のショートミュージックビデオを投稿するという音楽活動も話題となっている。
同じくTikTokでヒットしているのが、ぼっちぼろまる。22年6月に発表した『おとせサンダー』の冒頭部分を使った動画を、自身でTikTokに投稿したところ大ブームに。Billboard JAPANの「年間TikTok Songs Chart」で1位に輝いた。22年11月にはメジャーデビューEP『ぼっちのうたI』もリリースしている。
また、SNS発のヒットを受けて若者向けのバラエティやドラマのタイアップ曲に採用され、知名度を上げている新星たちも。
18年からSNSへ動画投稿を始め、総視聴再生数が1億回を突破するれんは、22年に発表した『氷解』と『きみのうた』の2曲が、Paraviの恋愛バラエティ『恋んトス season11』の主題歌と挿入歌に抜てきされた。
19年からYouTubeを中心に活動し、登録者数が40万人を突破するのが、こはならむ。22年リリースの『私の幸せは私が決めるの!』が、ドラマ『メンタル強め美女白川さん』のオープニング曲に選ばれるなど、注目度が上がっている。