マスク、ベゾス、ゲイツはどんな本を読んでいるのか

天才たちはどんな本を読んでいるのか? テスラのイーロン・マスク、アマゾンのジェフ・ベゾス、マイクロソフトのビル・ゲイツ。世界一の富豪になったイノベーターたちは、実は猛烈な読書家です。この連載では、3人が読んだ100冊の本のエッセンスを紹介した書籍『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』 ▼Amazonで購入する の発売に合わせ、彼らのような天才たちが読書を経営や人生にどう生かしているのかについて読み解きます。今回は、アマゾン創業者のベゾスの人柄と読書を生かした経営手法を取り上げます。

※日経ビジネス電子版の記事を再構成

 「ベゾスは芝居がかった怒り方をすることが多いが、社内ではそれをひそかに狂気(ナッター)と呼んでいる」。アマゾンのジェフ・ベゾスの伝記『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』で、著者のブラッド・ストーンはこう述べています。「君はものぐさなのかい? それとも単に無能なのかい?」「そんなアイデアをまた聞かされるようなら、首をくくらなきゃいけないな」といった厳しい口調で幹部を𠮟責することがしばしばあったからだそうです。

 “狂気”という言葉で語られる世界的なイノベーターはどのような人物なのでしょうか。メディアの単独インタビューにめったに応じないことで知られるベゾスですが、私は個別取材する機会が2度ありました。

 とりわけ印象的だったのは、2005年に米シアトルのアマゾン本社で行ったインタビューです。ベゾスは奇妙に感じるほど、けたたましい大声でよく笑うのです。「さかりのついたゾウアザラシか電動工具かと思うほどけたたましい声で笑うのだ。あまりの声に、周りは心臓が縮み上がるほどびっくりしてしまう」。こう果てなき野望でストーンが表現していたような笑い方でした。

 さらにベゾスには不思議な強いまなざしがあり、見つめられると目を離せなくなりました。撮影を担当したサンフランシスコ在住のカメラマンが「ベゾスの目は普通じゃない。狂気が宿っている」と何度もつぶやいていたことが忘れられません。

アマゾン社内で“ナッター(狂気)”と呼ばれていたジェフ・ベゾス(写真:ロイター)
アマゾン社内で“ナッター(狂気)”と呼ばれていたジェフ・ベゾス(写真:ロイター)

 当時は2004年11月に公開された『EPIC 2014』というショートムービーが話題になっていました。2008年にグーグルとアマゾンが合併して「グーグルゾン」が誕生し、インターネットとメディア、個人情報を支配するような存在になるという架空の物語です。2014年の時点でグーグルゾンは、すべてのユーザーの政治信条や消費習慣を含む情報を把握し、その結果、ディストピア的な世界がやってくるといった内容でした。

この記事は会員限定(無料)です。

8
この記事をいいね!する