パナソニックデザインの挑戦 第11回

パナソニックは、新しいフレームワーク「360UX(サンロクマルユーエックス)」を推進。アプリから取扱説明書、段ボールからコールセンターまで一貫した体験をデザインしている。商品にまつわるすべての顧客接点を見直すことで、さらなるブランド価値の向上を狙った。

「make calm」というCMFのフィロソフィーの考え方や、カラースキーム、カラーストーリーなどをまとめたビジュアルブック。現代のライフスタイルと調和する家電のデザインの在り方など、社内で共有するために制作した(写真/丸毛 透)
「make calm」というCMFのフィロソフィーの考え方や、カラースキーム、カラーストーリーなどをまとめたビジュアルブック。現代のライフスタイルと調和する家電のデザインの在り方など、社内で共有するために制作した(写真/丸毛 透)

 「360UX」は、パナソニックの商品にまつわる顧客接点のすべてを、1つのコンセプトを基にデザインしていくためのフレームワーク。生活者がパナソニックの商品を知り、興味を持った人は調べて購入し、商品を使い、つながり続ける。そのプロセスには商品はもちろん、プロモーション用の動画やウェブサイト、アプリ、店頭什器(じゅうき)のほか、取扱説明書や商品を納めた段ボール箱、さらには修理を受け付けるコールセンターなど、数多くの顧客接点がある。それらの体験すべての品質を高め、ブランドの世界観も統一することで、企業価値を向上させようという考えだ。

社内で360UXを浸透させるために制作した資料(資料提供/パナソニック)
社内で360UXを浸透させるために制作した資料(資料提供/パナソニック)

 360UXは現在、2023年1月に発足したばかりのコミュニケーションデザインセンター(CDC)が主体となって取り組んでいるが、それ以前から動き出していた。

「デザインシステム」も開発・運用

 CDCクリエイティブ部クリエイティブディレクターの脇阪善則氏は、「360UXの構想は19年ごろから始まり、デザイン部門やマーケティング部門などそれぞれが着手し、一貫したデザインを提供しようとしていた。CDCとして発足したことで一緒のチームになり、より強化して取り組むことができた。少しずつ商品に実装され始めている」と話す。

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