パナソニックデザインの挑戦 第7回

生活者起点で10年後の価値を模索する組織FLUX(フラックス)に加え、未来をつかむためのもう1つの重要な存在が、パナソニック デザイン本部の未来創造研究所だ。さまざまな研究を実施する同研究所は、パナソニックグループ内のデザインコンサルティング部門である。新たに始めた「α世代研究」が、未来に学ぶプロジェクトとして、グループ内の注目を集めている。

●未来創造研究所の世代研究(一部抜粋)
●未来創造研究所の世代研究(一部抜粋)
2004年にスタートした「ライフスケープ研究」に加え、さまざまな世代に着目した研究を続ける未来創造研究所。21年から、α世代研究に取り組んでいる

 パナソニック デザイン本部の未来創造研究所は、特定の事業領域や商品ではなく、さまざまな部門などからのリクエストや相談に応えるグループ内のデザインコンサルティング部門。新規事業や成長戦略プロジェクトを対象とし、研究開発やプロジェクト推進、ナレッジ蓄積といった機能を担っている。

 ユニークなのが、業務の10%を自主研究に費やしている点。依頼を受けた段階で、一から研究を始めていたのでは遅すぎる。そのため、独自テーマを設け、先行研究にも自主的に取り組んでいる。

 未来創造研究所が、2004年に始めた取り組みの1つに世代研究がある。04年に「人生80年時代のライフスケープ研究」と題して、衣食住、エンターテインメントといった15のカテゴリーで年代別の実態や嗜好を分析。その後も17年の「人生100年時代のライフスケープ研究」などが今も続いている。

 同研究所は、1985年に「総合デザインセンター内システムデザイン部」として発足。その後、社会の変化に合わせてデザイン領域を拡大し、「生活研究・未来研究」「マーケティングコンサル」など機能を増やした。これまで数度の組織名称の変更を経て、現在は未来創造研究所となっている。

事業と合致するテーマで世代研究

 一方、特定の世代にフォーカスした研究に、ミレニアル世代を対象とした2011年の「日本の若者 グローバルの若者 ライフスタイル研究」や、Z世代を対象とした21年の「Z世代調査 センシティブZ 微アクティブZ」などがある。ミレニアル世代が対象の共働き研究は、共働き世帯向けの家電など、社内の事業におけるニーズと合致しそうなテーマを選んでいる。21年にはZ世代調査と並行し、新たな自主研究として、未来創造研究所のビジネスデザインアナリスト ライフ/マーケティングリサーチ エクスペリエンスデザインの高山美和氏と、同デザインストラテジスト/CX・UXデザイナーの豊島靖子氏がα世代研究を始めた。

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