
未来起点×人間中心の追求において重要な役割を担っている大きな存在が、生活者起点での10年後の価値を模索する組織FLUXのインサイトリサーチだ。デザイナーの「先行開発」にインスピレーションを与え、経営幹部に未来の価値を提案する。
パナソニック社内の各事業部門に向けて、10年後の暮らしの体験価値を提案しているのが、パナソニック デザイン本部にあるFLUXという組織だ。その狙いは、これまで通りの炊飯器や洗濯機などの既存商品のアップデートではなく、商品やサービスを顧客視点に近づけることにある。
「そもそも消費者は何を必要とするのか?」を問いかけて、新たな答えをあぶり出す。10年先の体験価値は、各事業部門が商品やサービスを中長期的な視点で構想、発想する際の手がかりとなる。
FLUXが、10年後の価値を導く手法が独自のインサイトリサーチだ。インサイトを導いた先には、2つの役割がひも付いている。1つが、デザイナーが新たな商品やサービスを創出する先行開発の起点としての機能。インサイトリサーチを通じて作成したカードなどのツールをワークショップで使うことで、デザイナーに未来の価値をインプットし、発想の転換を促す。もう1つが、先行開発で形になったプロトタイプと合わせて、経営幹部らに未来の商品やサービスを提案するという役割だ。
4つのプロセスでインサイト抽出
インサイトリサーチは、大きく、「調査」「課題選定」「エクストリームユーザーインタビュー」「イマーシブリサーチ」という4つのプロセスを経て、インサイト抽出に至る。最初の調査では、世界の人々が取り組むべき課題を掲げたグローバルアジェンダやマクロトレンド調査をベースにした客観的なリサーチを実施。世の中に存在する多くの課題を集めていく。
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