2023年1月15~17日に開催された小売り展示会「NRF 2023: Retail's Big Show」では、開催地である米ニューヨーク近郊の最先端ショップを紹介するセッションがあった。米小売業界に詳しいIBAカンパニー(東京・新宿)の射場瞬氏が、それら店舗のいくつかを実際に訪れ、見えてきた最新トレンドをガイドする。
新型コロナウイルス感染症によるパンデミック(世界的大流行)の中、米小売業界は店舗を含めたさまざまな体験をいかにDX(デジタルトランスフォーメーション)するかに力を注いできた。今回のNRF 2023では、そうしたデジタル化の成果と、店舗に人が戻ってきたという現状を踏まえ、もう一歩先の進化を見据えたセッションが多かった。
多くの登壇者が大切さを強調していたのは「顧客の体験をさらに上げる」こと。EC(電子商取引)、アプリ、決済の仕組み、事前オーダーの仕組み、デジタルクーポンなどによる「便利でお得」な買い物体験は、もはや米国で当たり前になってきている。その先に何が必要なのかという議論が繰り広げられた。
単にものを手に入れるだけでならアマゾンのようなECで済む。その店に来店しなければ得られない魅力的な体験を提供するために「リアル店舗をどう進化させていくか?」が今回のNRFの大きなテーマの1つだったと言えるだろう。
実際に店舗はどのような進化を遂げつつあるのか。その最前線を理解するために最適なセッションがあった。その名も「ニューヨーク市のバーチャル店舗ツアー」。旬なニューヨークの最新店舗を30分で把握できるという実用的な内容で、多くの来場者を集めていた。実はNRFでは毎年の「定番」となっているセッションで、パンデミック前以来の参加となる筆者も、スケジュールに入れて楽しみにしてきた。ここで紹介された店へ見学に行く人も多い。NRFの期間中や終了後に訪問してみると、店の前に行列ができているのも恒例の風景となっている。
セッションでは、米アクセンチュアの担当者がコンサルらしく簡潔で分かりやすい解説をしてくれた。13の店舗を5つのカテゴリーに分けて紹介した。
●Brave New Worlds(新しい世界への挑戦)
●Responsibility By Design(社会的責任を果たすデザイン)
●Play & Experience(遊び&体験)
●Frictionless Commerce (スムーズな購入)
●Me & We(私&私たち)
ここからはセッションの中で話された各カテゴリーの特徴を紹介しつつ、筆者が実際に店舗を訪問した際の印象も記していく。
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