
「驚安の殿堂」であるディスカウントストア「ドン・キホーテ」が、PayPayなどと一線を画す形で、独自開発したキャッシュレスサービス「majica」の加入者を着実に増やしている。利用率も高く、店頭での実に約4割がmajicaによる決済だという。同店の熱烈なファンはなぜPayPayなどを使わないのか。その秘密に迫る。
ディスカウトストア「ドン・キホーテ」(以下、ドンキ)運営のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、キャッシュレス事業でも存在感を高めている。独自の電子マネー「majica」のアプリ会員数が、1100万人を突破。お得さと利便性を両立した点が支持され、全体で客の39%が、クレジットカードや「PayPay」などのコード決済ではなく、majicaで支払っている。ドンキを日常的に使うファンの中には、majicaの決済額が年間100万円以上に上る人もいる。
カラコンを買う女性層の心をわしづかみ
「カラコン、2箱ください」──。ドンキのレジでは、商品の入った買い物カゴを持つ客に混じって、手ぶらでカラーコンタクト(カラコン)を買い求める女性客の姿をよく見かける。事前に受診医療機関などをmajicaの専用アプリに登録しておくと、購入手続きがスムーズに済むからだ。
「majica会員の約6割が女性」。majica事業を統括するマーケティング戦略本部本部長の太田越太氏はこう話す。通常カラコンを購入する場合、都度同意書に住所や氏名などを手書きする必要がある。それがmajicaアプリを入れておくと同意書不要で即会計が可能。こうしたことから「カラコンを買うならドンキが楽」という口コミが徐々に広がったという。「レジに並んでいる際に、個人情報を記入する手間に加えて、後ろの客に個人情報をのぞき見されるリスクも軽減できる点も支持されている」(太田越氏)。レジ前の滞留も最小限に済むとあって、回転率アップにも結びついている。
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