※日経エンタテインメント! 2023年1月号の記事を再構成
デビューから1年、破竹の快進撃を続けるINI(アイエヌアイ)が、待望の1ST ALBUM『Awakening』を12月14日にリリースした。アルバムのコンセプトは「新たな自分を自覚した瞬間、輝く」。自身と向き合い、進化することで輝きを増し続ける11人の1つ目の集大成だ。このアルバムについて、そしてこれまで経験したライブで感じたことや2年目の抱負をメンバーに語ってもらった。
左上写真の右から、尾崎匠海(おざき・たくみ/1999年6月14日生まれ、大阪府出身)、藤牧京介(ふじまき・きょうすけ/1999年8月10日生まれ、長野県出身)、佐野雄大(さの・ゆうだい/2000年10月10日生まれ、大阪府出身)
右下写真右から髙塚大夢(たかつか・ひろむ/1999年4月4日生まれ、東京都出身)、池﨑理人(いけざき・りひと/2001年8月30日生まれ、福岡県出身)、西 洸人(にし・ひろと/1997年6月1日生まれ、鹿児島県出身)
左下写真右から許 豊凡(しゅう・ふぇんふぁん/1998年6月12日生まれ、中国出身)、田島将吾(たじま・しょうご/1998年10月13日生まれ、東京都出身)
――『Awakening』はどんなアルバムになりましたか?
木村柾哉 これまでない雰囲気の楽曲も収録されていて、見たことのないINIが見られるアルバムになると思いますし、今までのINIの雰囲気を持った楽曲もあるので、INIらしさをもっと確立していけるんじゃないかなって思ってます。
佐野雄大 これまでになかったような曲もあって、アルバムになったときにどうなるのかワクワクして、みんなで妄想する時間が楽しかったですね。衣装もこれまでにないようなきらびやかな感じで。
後藤威尊 初めてお世話になる方に振り付けしていただいた曲があって、それが今までのINIにはないダンスなんです(日経エンタテインメント! 1月号P27参照)。ちゃんと最大限表現できたときに、MINIの皆さんだけでなく、INIを知らなかった人にも「INIってこんなかっこいいチームなんだ」って思ってもらえるんじゃないかなってよくメンバーと話したりしてます。
田島将吾 これまでも作品ごとに自分たちを更新できてきたと思ってるんですが、アルバムはその集大成となる作品。個人的には『Runaway』で作詞に携わらせていただいたのがうれしかったので、ぜひ聴いてもらいたいですね。
池﨑理人 『Dramatic』のダンスが今までで1番踊っていて気分が乗って楽しくて。すごく一体感があって迫力のあるダンスなのでそれを見てほしいです。終盤で一気にテンポが変わって(西)洸人からまた始まる展開で、曲自体もまさにドラマチックなんです。
田島 その部分、練習で(尾崎)匠海が負傷したけどね(笑)。
池﨑 洸人の踊りが激しすぎて、足が当たっちゃったんだっけ?
田島 そう。「まだ痛い」って言ってた(笑)。
木村 気合いが入ったんだろうね(笑)。
許豊凡 『Dramatic』は僕もすごく好きで、理人が言うようにサウンドがすごく新しくて、1曲の中で曲調が何回か変わるので本当にドラマチック。パフォーマンスしてるときもすごく気持ちいいです。
髙塚大夢 僕が一押しの曲は『BAD BOYZ』です。さっきたじ(田島)君が言った「集大成感」が1曲に反映されていて。歌詞の中には、これまでのシングルタイトルの『A』『I』『M』が入ってるんです。あと、デビュー曲の『Rocketeer』の歌詞も入ってるのが個人的にすごく聴き応えを感じます。ぜひ聴き込んでもらいたいですね。
田島 タイトル曲みたいな内容だよね。練習の時に西君が「INIのなかにBAD BOYZいる? …いないな?」みたいなことやってた(笑)。
髙塚 やってたやってた(笑)。
木村 レコーディングで「もっと悪い感じで」「嫌なこと想像して」って言われて、めっちゃ苦労しました。僕の番になって「じゃあ行きまーす!」って言ってブースに入っていくんだけど、嫌なことまだ思いついてなくて焦ってた(笑)。
田島 かわいい(笑)。
松田迅 ジャケットは、ロサンゼルスの家で撮影したんですけど。
西洸人 あそこを普通に「家」って言っちゃだめだ(笑)。
松田 豪邸か(笑)。ワインセラーもあったよね。貴族みたいなビジュアルでの撮影もあって、衣装もゴージャスで。撮影中、みんな自信満々な雰囲気で「ここは俺のソファーなんで」みたいな感じで(笑)。そういう感じでやらせていただきました。
藤牧京介 貴族っていうのは(松田)迅が言ってるだけなんで(笑)、主語は「僕は」でいいよ。「みんな」って言ったとき、内心「それはちょっと違うかも…」って思った。
松田 ごめん(笑)。
藤牧 いやいや(笑)。やっぱり迅はああいう雰囲気が似合うから、すごく絵になってました。
松田 ワインセラーが買えるように頑張ります!
尾崎匠海 めっちゃ気に入ってるやん(笑)。僕はアルバムの制作期間がドラマ(『コンビニ★ヒーローズ~あなたのSOSいただきました!!~』)の撮影期間と重なっていて、ドラマとアルバム作りを同時にやっていることにワクワクしてました。体力的なしんどさはあったけど楽しめたし、自分が2人いた感じがした。
藤牧 体2つくらいあったもんな。
松田 マジで、たくみん(尾崎)をリスペクトします!
藤牧 あの期間の尾崎匠海の頑張りを見ると、ちょっとつらいことがあったとしても「あれには勝てないわ。俺も頑張ろう」って思える。
松田 新幹線に何回乗ったんだよって思う(笑)。
尾崎 全国でも上位の回数やと思う(笑)。でも、僕もメンバーからエネルギーをもらいました。例えば、京介がみんなの練習動画をまとめて送ってくれたり、大夢が僕の参加できなかった練習の内容を教えてくれたり、会えたときにみんなが「頑張れな」って言ってくれたり、いろんなところで支えられましたね。
仲を深める食事事情
――初めてアルバムを作るなかで、メンバー同士のコミュニケーションに変化は感じましたか?
田島 練習の合間、休憩中もずっと一緒に話してる感じなんです。なかでも匠海はみんなのモチベーションを上げようとしてくれるので、本当にありがたいなって思います。
池﨑 ミーティングだと迅がやけに真面目だよね。一人称が「私」に変わったり、口調も大人になる。
木村 違う人格が出てくるよね。
池﨑 元生徒会長の面が出てくる感じなのよ(笑)。
木村 「リーダー、どう思いますか?」って、いきなり俺のこと「リーダー」って呼び始める(笑)。スイッチが入るんだろうな。
許 僕はあまり強くは言えないタイプなんだけど、思ったことは言いたいタイプ(笑)。でも、伝え方を迷ったりして…みんなに僕のことはどう見えてるのかな? と思ってます。
池﨑 やりたいことをたくさん提案してくれてるよ? でも、確かにみんなの前で意見を言うのがちょっと恥ずかしそうで、柾哉君越しに伝えてくれるときがあるよね。
許 そうなのか。思いついたアイデアはみんなにシェアしたいんですよね。例えば、音楽番組のパフォーマンスの最後に新曲を匂わせるようなジェスチャーを入れたり。
池﨑 それ、やったな。
許 みんなにそのアイデアを話したら賛成してくれて。この1年、提案する機会は増えてきたように思います。
髙塚 ミーティングを開かなくても、自然と雑談が発展してクリエーティブな話ができるようになってきてるなと思います。
――メンバーと食事に行く回数も増えたそうですね。
松田 はい。めっちゃ増えました。最近よく、りーくん(池﨑)とご飯に行きますね。「今日、ファミレス行かね?」って誘われます。
西 え、2人で?
松田 2人で行って、めっちゃ食べた!(笑)。
西 かわいい2人だな(笑)。
松田 焼肉好きなメンバーが多いので、3人で行ったりもするけど。
尾崎 楽屋の過ごし方とかいろんな面から各々のことを理解したことで仲が深まってると思います。西君は楽屋でよくパソコンでイヤホンして音楽聴いていて。
西 あれは実はそう見えてー。
尾崎 え? 音楽聴いてるんじゃないの?
西 みんなの会話を録音して、どこの焼肉店に行ってるか調べてる(笑)。
尾崎 だとしたら、めちゃくちゃかわいいじゃん!
松田 情報収集してたんだ?(笑)。
西 そう。情報収集してた。
藤牧 それは直接聞いてよ(笑)。
西 それで、「今日も誘われなかった…」って思ってる。
松田 あははは。
西 いつでも誘ってほしいですね。パフォーマンス中でもいいよ。
尾崎 それはダメだろ!(笑)。
松田 でも僕たち、西君とチーズナンを食べに行ったよね?
尾崎 全部おごってくれましたね。
藤牧 え、あれ全部おごったの?
西 5000円くらいかなって思ってカード出したら1万2000円で(笑)。でも、もう引けないからさ。
尾崎 あれ、面白かったな(笑)。
松田 でも、西君は早かった。「そろそろ帰ろうか?」ってなったらすぐにレジに行って、「あ、払ってくれてる~」って思って。
佐野 確かに西君はそういうところある。俺とご飯行ったときも会計のタイミングになると身支度が早くなる。「いくらですか?」って聞いたら、「もういいから。おいしかった?」「おいしかったです」みたいな。すごくスマートです。
全員 (拍手)
西 そうやって先輩に甘えて育ってきたんで。みんなも後輩ができたらそうやってあげてください。
全員 ありがとうございます!(笑)
11人11色だから助け合える
――怒濤の日々を過ごすなか、この11人だから乗り越えられたことも多かったのでは?
松田 WANIMAさん主催の「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2022」の同日に、「第35回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2022 AUTUMN/WINTER」にも出演したんですが、体力的に結構きつくて。でも、みんなで「よっしゃ! 頑張ろう」って一致団結できたことでエネルギーをずっと保てたのが良い思い出ですね。
後藤 誰かがちょっと思い詰めてしんどくなっちゃったときに、全員がめっちゃ親身になって自分のことのように話を聞いたりして。みんな優しいし、ちゃんと意見を言ってくれるからこそ、1人ひとりが壁にぶつかっても乗り越えていけてるのかなって思います。
藤牧 もともとダンスをやっていた洸人君と柾哉君が『KILLING PART』の振り付けをしてくれたんですが、仲の良さや僕たちそれぞれのことを知っているからこその振りになっていて、曲がさらに楽しい雰囲気になったんです。2人がいるINIだからこそ作り上げられた作品なのかなって思います。
松田 (笑顔で拍手)
西 そう言ってもらえるとうれしいですね。僕からすると、特にボーカル面ではめちゃくちゃメンバーを頼りにしてます。いろんなタイプがいるからこそ幅広い楽曲が生み出せる。すごくバランスが良いと思いますし、お互いをカバーするだけじゃなくて、教え合ったりアドバイスし合うことで、成長するきっかけができる。だからこそいろんなことが乗り越えられていると思います。
木村 「KCON 2022 LA」ではフェンファンの英語に助けられました。
髙塚 そうだったね。
池﨑 間違いないね。
髙塚 英語を韓国語にする通訳の方はいらしたんですけど、日本語を訳してくれる方がいなくて。
許 日本語ができるのは、僕たちの事務所の人たちくらいだったんです。しかも、レッドカーペットの後に急に取材が入ってきて、僕もすごくパニックになっちゃった。
木村 でも、しっかり対応してくれて助かりました。会場で流れてる音が大きくて、しかも司会のアナウンサーの方との距離もあったから、端にいた俺はほとんど聞こえなくて、「フェンファンに任せるしかない」と思った。
田島 あれは助かったな。
全員 (拍手)
許 語学力はもっと伸ばしていきたいですね。
木村 「KCON 2022 LA」は海外のステージの空気を味わうのも初めてで、日本のお客さんと乗り方が全然違うってことを知れた良い機会でもありましたね。
池﨑 たくさん盛り上がってくれるので、本当に興奮しちゃった部分もあったね。楽しかったけど、課題も分かりました。
田島 学びも多かったね。他のアーティストのステージも見せてもらっていろんな発見があった。
許 これまでなじみがなかった、360度お客さんがいるセンターステージでの会場全体の巻き込み方は、すごく勉強になりました。目の前にいるお客様だけじゃなく、後ろや横にいるお客様が盛り上がるような動きがどういうものかっていう。
「ただいま」をただ今練習中
――12月から1月にかけて初のアリーナツアーも実現しました。
松田 初めて行く場所もあるのでめちゃくちゃ楽しみです(※取材はツアー前)。今までMINIの皆さんからもらったたくさんの愛に対して、直接「ありがとう」の気持ちを伝えたいです。
――佐野さんは半年前の本誌インタビューで、「地元でライブをして『ただいま』と言うのがまずはみんなの夢だ」と言ってましたが、大阪公演でかないますね。
佐野 そうなんです。めちゃくちゃ楽しみで、「早く言いたい!」と思って普段から口にしてます。
西 「ただいま」の練習?(笑)。
佐野 そう(笑)。
後藤 僕も大阪出身だけど、雄大がめちゃくちゃ楽しみにしてるから、雄大が「ただいま」って言う前に言いづらい(笑)。
藤牧 3人(大阪出身の佐野、後藤、尾崎)で言えばいいじゃん。
(ここで突如、大阪公演でのMCの打ち合わせが始まるが秘密)
佐野 そう! そういうのを僕は思い描いていた。
全員 (拍手)
西 俺も「ただいま」って言っていい?
松田 あ、俺も!
佐野 全然いいよ。大阪はみんなのものだから。
松田 いずれ鹿児島も沖縄も長野も行きたいですね。
尾崎 全部行きたい。中国も。
松田 沖縄に22年にできた沖縄アリーナは1万人くらい入るんですけど、そこでライブができるように頑張ります! できたら泣いちゃうかもしれない(笑)。最近思ったのが、「毎公演泣いちゃうかもしれないな」って。
――すでに涙目になってます?
松田 いや、さすがに今は大丈夫です!(笑)。
尾崎 目がキラキラしてるよ?
藤牧 迅は本当に今泣く可能性がある(笑)。
松田 活動をしていくなかで、結構涙もろいんだなって感じてます。
佐野 涙もろい年ってない? たぶん、その時期やで。
尾崎 大先輩か!(笑)。
松田 2歳しか変わらんし!(笑)。
佐野 いや、俺も迅くらいの年の頃、涙もろくて。
西 何に泣いた?
佐野 いや、普通に生きてて。映画見て、「あれ、俺ってこんな泣くっけ?」って思ったり、友達といても「むちゃくちゃこいつ優しいやん!」ってウルウルしたり。
西 じゃあ今そうなってないってことは、俺らといても感動してないってこと?(笑)。
佐野 違う違う!(笑)。今はその時期がいったん終わって、自分の中でまず整理できる年になった。先に涙が出る年があったんやって。
松田 人生の先輩ですね(笑)。
妥協しない2年目に
――デビュー2年目に突入し、次のフェーズに向けて、今どんなことをやるべきだと考えていますか?
木村 2年目も進化し続けるINIを見せていかないと大きくなる道は遠のいていくと思うので、それをメンバー1人ひとりが意識する。1つひとつの露出や新曲リリースの度にINIを更新していく2年目にしたいですね。
田島 妥協しない2年目にします。
髙塚 良い意味で変わらず、初心を忘れずに謙虚さと感謝の気持ちを常に持って、外からも内からも応援したくなるようなグループでありたいですね。
西 さっきも言ったけど、それぞれの強みが本当にすごくあるグループだから、プライベートで誰かの家に集まって曲作りがしたい。メンバーに歌ってほしいし。
藤牧 歌いたいです。
佐野 遊びで作ったことがそのまま仕事になっていくみたいな?
西 そうそう。
尾崎 今でも「こういうふうになりたい」っていうイメージはあるんですが、それがツアーを通して固まっていって、それぞれが理想としているアーティストの形に近づく努力が始まる気がしてます。いろいろと新しくやりたいことが見つかったり。
後藤 僕も匠海と同じことを考えてます。この1年でイベントや動画コンテンツでいろんなアーティストさんに触れてきて、2年目は自分の目指すアーティスト像が明確になっていく。そこに向けて各々を磨いていくんじゃないかなって。僕自身も見せ方を確立させていきたいです。
佐野 この1年で得たものを、今は自分の中に吸収している状態で、それを表に出していくことによって新たな個性が出始めていくなんじゃないかな。自分もメンバーの一員ですが、メンバーそれぞれの新たな面が見られるのも楽しみなのでワクワクしてます。