※日経エンタテインメント! 2023年1月号の記事を再構成

2022年テレビドラマを振り返るとトップの『カムカムエヴリバディ』をはじめ、NHKの朝ドラは安定した人気を誇った1年だった。NHK大河、TBS「日曜劇場」、テレ朝「木曜ドラマ」、フジ“月9”と、世帯視聴率のランキングでは、各局の看板枠で放送された作品が強さを見せた。

ドラマ世帯視聴率 年間ランキングTOP30/対象期間は22年1月1日~11月6日。8時から23時台までにスタートする、15分以上の日本の連続ドラマ(3週以上)について、ビデオリサーチ関東地区のデータを基に編集部が平均視聴率を算出。視聴率は「世帯視聴率」。小数点2位以下は四捨五入。放送時間拡大による加重平均はしていない
対象期間は22年1月1日~11月6日。8時から23時台までにスタートする、15分以上の日本の連続ドラマ(3週以上)について、ビデオリサーチ関東地区のデータを基に編集部が平均視聴率を算出。視聴率は「世帯視聴率」。小数点2位以下は四捨五入。放送時間拡大による加重平均はしていない

 ドラマの世帯平均視聴率第1位は、NHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』となった。上白石萌音、深津絵里、川栄李奈の3人がヒロインを務め、家族3代の100年にわたる物語をリレー形式で紡ぐスタイルは、朝ドラ初の試み。どのパートも恋愛の要素を強く打ち出したストーリーが、最後まで視聴者を魅了した。

 朝ドラは安定した人気を誇り、放送中の『舞いあがれ!』が2位、9月まで放送された『ちむどんどん』が3位と、トップ3を独占した。『舞いあがれ!』はパイロットを目指すヒロイン・岩倉舞(福原遥)の前向きな姿がさわやかなタッチで描かれ、好評を博している。『ちむどんどん』は各キャラクターの描き方や物語の展開が注目され、SNS上では連日熱心な議論が交わされたほど。Twitterのハッシュタグ「#ちむどんどん反省会」は今年の新語・流行語大賞にノミネートされた。

 民放連ドラでは、『相棒』が4位と6位に入った。「season20」で杉下右京(水谷豊)の4代目相棒・冠城亘(反町隆史)が卒業。初代相棒を演じた寺脇康文が約14年ぶりに5代目相棒として復帰することが発表されると、ファンからは歓迎の声が上がった。放送中の「season21」の初回視聴率は、22年の民放連ドラでトップとなる17.3%を記録した。

 TBSの「日曜劇場」は2作品がトップ10入りした。5位の『DCU』は、水中の捜査に特化した架空の組織が舞台。海上保安庁の全面協力、ハリウッドの大手制作プロダクションとの共同制作と、映画並みのスケールで描かれた。7位の『マイファミリー』は、娘の誘拐を機に、夫婦(二宮和也、多部未華子)が数々の試練に立ち向かうミステリー仕立てのファミリーエンタテインメント。昨今の“考察ブーム”に乗り、視聴者の興味が途切れることがなかった。ちなみに、13位の『オールドルーキー』、17位の『アトムの童』を含めて、「日曜劇場」は1年の全ラインアップがオリジナル作品だった。

人物描写が秀逸な『鎌倉殿』

 12月18日に最終回を迎えるNHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、8位という結果。鎌倉幕府2代執権・北条義時(小栗旬)が、武士の頂点に上り詰めていく姿を描く。物語は終盤に向けて緊張感が高まるばかり。大河ドラマ3作目となる三谷幸喜の脚本は、練られたストーリー展開に加え、源頼朝(大泉洋)がずる賢い上に好色だったりと、個性を際立たせた人物像で多くの人の心をつかんだ。

 9位には医療ドラマの新作である『ザ・トラベルナース』(テレ朝系)がランクインした。脚本の中園ミホをはじめ、『ドクターX』シリーズを手掛けたスタッフが再集結。本作では男性看護師コンビ(岡田将生、中井貴一)の視点で、医療問題に切り込んでいる。

 10位には、人気マンガが原作のフジテレビ“月9”作品『ミステリと言う勿れ』が入った。難事件に遭遇するたびにひたすらしゃべり続けて謎解きをする、クセ強めの主人公・久能整を、菅田将暉が演じ切った。“月9”作品は、原作ものとなる21位の『元彼の遺言状』、25位の『競争の番人』のほか、オリジナル作の『PICU 小児集中治療室』も22位という結果に。

 このほか、半年間放送された日本テレビの『真犯人フラグ』が26位にランクインした。

※視聴率(世帯)はビデオリサーチ関東地区調べ。
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