「メガネスーパー」は、首都圏を中心に全国約330店舗を構えるビジョナリーホールディングス運営の眼鏡・コンタクトレンズ・補聴器の専門販売チェーンだ。「JINS」や「Zoff」といった格安眼鏡専門店の台頭で、2008年4月期から15年4月期まで8期連続で最終赤字が続き債務超過に陥っていたが、13年6月に再建を託された星崎尚彦氏が社長に就いて以降、格安路線と決別。検査とフィッティングなどの技術力を背景に目の健康寿命を延ばすためのトータルサポートを提供するアイケアカンパニーを宣言をするなど業績をV字回復させ、16年4月期に9期ぶりに黒字転換を果たした。
モノ売りからコト売りにシフトした眼鏡販売に加えて、業績回復を支えた要因として、日用品であるコンタクトレンズの販売増がある。ECサイト、およびLINEアプリを活用したコンタクトレンズ販売のオムニチャネル、デジタルサービスの拡充をリードしたのが、ビジョナリーホールディングス取締役CDO(最高デジタル責任者)兼CIO(最高情報責任者)の川添隆氏だ。前職のアパレルブランドを率いた星崎社長の下でEC事業の責任者を務め、13年に共に“デジタル領域からの再建請負人”としてメガネスーパーに参画した。
「コンタクトレンズを切らして今すぐ欲しい」に対応
コンタクトレンズで主流である使い捨て型のソフトコンタクトレンズは、高度管理医療機器でユーザーが同じ商品を何度も購入するリピート性の高い商品である一方、コンタクトレンズ専門店の他、競合の眼鏡専門チェーン、眼科併設の販売店、ドラッグストア、専業ECサイトでも販売している“ある程度どこでも買える商品”でもある。そんなコンタクトレンズを、他店ではなくメガネスーパーで購入し、かつリピーターになってもらうにはどうすればよいか?
顧客起点に立って考えると、コンタクトレンズ利用者がコンタクトレンズを「買わなきゃ」と思うのは、手持ちの在庫を切らしてしまったときにピークとなる。「ECで注文しても届くのに数日かかってしまう」「いつも買っている自宅近くの店舗は、仕事が終わってから駆けつけても間に合わない」「会社近くの店舗には自分が使っているいつものレンズがあるかどうか分からない」│という具合に、「今欲しいのに入手しづらいことがペインポイント(課題)になっていた」(川添氏)。
これに対してメガネスーパーが打った施策は次のようなものだ。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー