コンビニエンススストア産業のトレンドは……。専門誌「月刊コンビニ」が調査したデータを基に解説する本連載。コンビニ業界を長く取材する月刊コンビニ副編集長で流通ジャーナリストの梅澤聡氏が、セイコーマートの強さなどを解説する(店舗数データは2022年12月末時点のもの、記事下に一覧表を掲載)。

コンビニの2022年12月末の店舗数データから、セイコーマートの強さを解説(c)shutterstock
コンビニの2022年12月末の店舗数データから、セイコーマートの強さを解説(c)shutterstock

 コンビニエンスストア(コンビニ)9チェーンの2022年12月末店舗数は5万8072店、22年11月から19店の増加となった。これを前年同月(2021年12月末)と比較すると82店の減少となった。前年同月比の主な内訳は、セブンイレブンの123店の増加に対して、ファミリーマートは34店の減少、ローソンは87店の減少となった。

 セブンイレブンは堅調に店舗数を増やしているものの地域によって濃淡はある。例えば、2019年7月に初出店した沖縄県は、3年5カ月経過して137店を展開、この1年の間でも30店を上乗せしている。

 ちなみに、セブンイレブンを迎え撃つファミリーマートの沖縄県での店舗数は330店で2022年は1店の増加、ローソンは257店で22年は4店の増加としている。セブンイレブンが進出した後も、ファミリーマートとローソンは店舗数を減らしていない。コンビニ大手3チェーンが商勢圏を密にしている状況が分かる。

 沖縄県は全国的に若年層の比率が高く、県内の人口は近年まで増加を続けてきた。加えてインバウンド需要についても、今後は新型コロナウイルス禍以前のにぎわいが期待されている。コンビニの成長余地は大きいだろう。

 一方で北海道のような厳しい地域もある。全道で過疎化が進み、一極集中にあった札幌市の人口も2年前から減少に転じている。

 セブンイレブンは、道内店舗数を2018年4月に1000の大台に乗せたが、2022年9月に前月から3店減らして997店として4桁のラインを割っている。

 北海道の店舗数ではセブンイレブンの上をいく1084のセイコーマートは、近年、店舗は微減傾向にあるものの2010年度に到達した4桁の店舗数を現在も堅持している。

 この道内を商勢圏とするセイコーマートは、特異なコンビニとして知られている。他の中堅コンビニが、淘汰や縮小を余儀なくされる中で、なぜセイコーマートが店舗数を維持できているのか。過疎化が進む北海道でドミナント(集中出店)を守っていけるのか、しばしば議論されてきた。

 振り返ると、1970年代から80年代にかけて、全国で数多くのコンビニチェーン本部が乱立するものの、その後は中小が淘汰されて大手3チェーンによる寡占化が進行した。2011年度にam/pmブランドが消え、16年度にココストア、18年度にセーブオン、スリーエフ(「ローソン・スリーエフ」の看板は残る)、サークルK、サンクスの看板が消えた。

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